∬001 ページ2
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少し冷たい風が丘の草を揺らす昼下がり。
ジョースター邸の庭に一台の馬車が止まり、その後ろに続いて三台の荷馬車が止まった。
その様子を窓から眺めていたジョナサンは、階段を駆け下り、屋敷の扉を開け放つ。
瞬間――ジョナサンの胸に飛び込んできたのは……
「ジョォォ〜ジョォォ〜〜っっ」
上はフリルをあしらったボリューミーな白ブラウス、
下は足首近くまである燃えるような真紅のスカート。
――その少女『A』は、無防備なジョナサンに目一杯 抱き着いた。
「うぐっ……A、苦しいよ……(それに女の子に抱きしめられるのって何だか…!)」
Aはクスッと笑い、ジョナサンの瞳の奥を覗きこむ。
「あら? お顔が赤いですわよ? ジョジョお坊ちゃま」
「……し、紳士をからかうなッ!」
彼女を突き放し、クルリと背を向けると、乱れたジャケットを直した。
「フフフ、照れる年頃になったのね。
たしか最後にあんたと会ったのは……」
「8歳のとき以来だね……久しぶり、A・レッドフォード」
ジョナサンが微笑んだ。
「ええ、お久しぶり、ジョナサン・ジョースター。
でも、ジョジョのくせに私の背を越すなんて生意気……!フゥ〜ンだ!」
Aは唇をイーッ!とさせ、白い歯を見せる。
「なんだって! 君は相変わらずなんだな!」
『キャハハハ!』――二人は呼吸を合わせるように、同時に吹き出した。
「そういえば、庭にダニーがいなかったけど、彼 元気してる?」
「 !!!! 」
ジョナサンは顔を下に向けると、わすがに肩を震わせた。
「ダニーは……死んだよ……」
「えっ!! ……そ、そう……それは とても残念だわ……」
すると、階段からジョースター卿が降りてきた。
「ようこそ A! ここへ来るのもしばらくぶりだろう。
我が家のように生活してくれたまえ」
「お久しぶりです、ジョージおじさま。ご厚意たいへん感謝いたします」
両手でスカートの裾を持ち上げると、軽く膝を曲げてお辞儀した。
ジョースター卿の隣には、見知らぬ金髪の少年が立っている。
その肌は透き通るように白く、瞳はハチミツに似た琥珀色。
背筋は品よく伸びていて……
Aは彼のことを「綺麗な男の子だな」と思った。
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推しの命は私の命 - ジョナサン空気( ゚இωஇ゚) (10月15日 15時) (レス) @page43 id: 0046fb2d1c (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - 黒猫歳花さん» コメありがとうございます…!そう言っていただけて嬉しいです(*´ω`)これからも、胸に刺さるキュンキュンを目指しながらお送りしますッ (2018年5月4日 23時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫歳花(プロフ) - はじめまして、この作品を読んでいるとディオにキュンとしっぱなしで楽しいです!これからも頑張ってください(*^▽^*) (2018年5月4日 20時) (レス) id: ae43b29bb1 (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - おバカな傀夢さん» ありがとうございます笑 ディオのキャラが崩壊していないか不安でもあります(汗)お話も中盤にさしかかって参りました…! 引き続きよろしくお願いします(*^-^*) (2018年5月4日 12時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
おバカな傀夢(プロフ) - おおっ!?やっと…やっと気が付いたかッ!ディオ〜!!大好きだ〜!!油電様も大好きです笑 (2018年5月3日 22時) (レス) id: 5ff30031ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:油電 | 作成日時:2018年4月1日 21時