無感情ブラックⅡ【刀剣乱舞】 (ページ1)

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　悩んだ私は、とりあえずこの事は置いておいて、先にキッチン……厨の方に向かうことを決めた。

　予定が押しているのもあったが、一人でここを探しているより余程有意義だと感じたからだ。

　埃まみれの服を替え、新しく届いた──さすが未来の技術だ。配達がとても早い──靴を履き、母屋へ向かう。夕方の日が差し込む廊下をギシギシいわせながら、地図を見て厨を目指す。

　先程作業を終えた風呂場は、先述した通り本丸のほぼど真ん中に存在する。ただ、ど真ん中といっても“ほぼ”なので、中心よりは若干北寄りだ。回の字型の建物の真ん中に、ボコッと出来物のように風呂場が飛び出ている。

　否、飛び出ているというよりは、取ってつけたという感じだろうか。実際に見た感じでは、そこだけ不自然に中庭がえぐれていた。

　更に説明を続けると、今通った玄関は南西の角にあり、厨はそこから東に真っ直ぐ行った途中の部屋にある。隣には食堂。そして、厨の真上──二階の南部屋に、審神者の執務室と自室が並んで位置している。ちなみに二階は大体が刀剣男士様の自室で、審神者部屋のある南の並びが唯一、書庫や手入れ部屋などで埋まっているようだ。

　手入れ部屋は各階──いい忘れていたが、本丸は三階建てだ──に一つずつ存在している。ただ二階だけは、審神者部屋が近くにあるからか二つあった。鍛刀部屋は一階に集中させているようで、他の階にはナシ。南部に隣接する西部は、先程行った粟田口の大部屋がどんと陣取る。……成程、こういう並びだったのか。

　そんなことを考えているうちに、とうとう厨へ着いた。……だが、どうにも誰かいるようだ。灯りが漏れ、話し声が聞こえる。聞き覚えのある声なので、会ったことのある刀剣男士かもしれない。

　ないとは思うが、もしかして、夕食の準備とかだろうか。こんのすけ曰く、現在厨は使用されていないとのことだったが、何ともいえない。

　……どうしよう。後にしようか。

「……いや、」

　それは出来ない。まだ次の予定を打ち合わせていないのだ。計画にない動きをしては、薬研様が困ることになる。それだけはいけない。

「……すみません、失礼します」

　素早くノックを三回して、半開きのドアを開けた。失礼なことをしている自覚はあったが、多少は友好的な刀剣男士様がいるかもしれないし……当たって砕けろだ。

　……そう、思ったのだが。

「……大和守、さま？」

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