無感情ブラック【刀剣乱舞】 (ページ9)

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「……実は今、ちょっとしたゲームをしていて」

「げぇむ？」

「勝負のことです。鬼ごと……といえば理解できますでしょうか」

「ああ、そういう……誰とやってるんだ？」

「名前は知りません。全身真っ白な美しい神様です。はちみつ色の瞳をしていました」

「鶴丸の旦那か」

　ツルマル。鶴丸。……とすると、恐らく鶴丸国永様だろう。

「それにしても意外だな。鶴丸の旦那が大将と鬼ごととは……旦那はいちばん、というまでにはいかなくとも、それなりに人間を憎んでいるように聞いてたんだが」

「その点においては私も同感です。彼は明らかな敵意を持っていました。だというのに……」

「……おい大将、今なんつった？」

「？」

　薬研様が、いきなり切羽詰まったような顔をして言葉を遮った。どうしたのだろう。

「敵意を持っていた、といったよな。ということは、鶴丸の旦那はまだ人間を許しちゃいないのか？」

「そう見受けられましたが」

「っな、それがわかっててなんで勝負を受けたりなんかしたんだ!?」

「真意を知りたかったので。それに、ここに来た当初から本丸の内蔵を把握しておく必要があると思っていましたから。いい機会だと」

「あっ、のなあ……」

　はあー、と薬研様は深いため息をついた。その表情はとても疲れ切っていて、私は思わず首を捻ってしまった。

　何かいけないことをいっただろうか。やっぱり、安易に鶴丸様の勝負を受けるのは良くなかったかもしれない。

「どうかなさいましたか」

「どうしたもこうしたも……ああもうっ、説教はとにかく後だ！ずっとここに留まってても見つかるのは時間の問題だろうし、とにかく場所を移動しなけりゃ……」

　──瞬間、ぞくり、と背筋が冷たくなった。

「──みぃつけた」

　全く気がつかなかった。重い扉が開いた音もしなかったし、それどころか足音のひとつも聞こえなかったのだ。

　薬研様がはっと息を呑んで立ち尽くす。少し固くなった動作で振り返ると、白い顔がにいと笑んだのが見えた。

「──さあ、追いかけっこの時間だ」

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