無感情ブラック【刀剣乱舞】 (ページ3)

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　本丸なのだというところは、酷く汚れていた。

　……いや、汚れていた、というより、穢れていた、あるいは、汚染されていた、というべきだろうか。

　微かに日光のさす空はどんよりと暗い雲がたちこめ、空気は息をするのも苦しいほど悪い。

　まるで辺り一帯が放射能にでもやられてしまったかのようだ。

「……酷い有様でしょう。刀剣様方が祟り神になっていないのが不思議なくらいです」

　ぽつりと呟いたこんのすけの言葉に、そうかもしれないと頷いた。

　神様のことはよくわからないけれど、こんなところは絶対に体に悪い。

　2134年では、汚染されきってしまった外には、もうほとんど誰もいない。みな、地下の安全なシェルター街にいる。外なんかにいたら、すぐに核の残骸で身体がボロボロになってしまうからだ。

　外に出ているような物好きは、一貫して私たちのような兵器のみ。それだって、そう長くは地上にいられない。

「さ、大広間へ行きましょう。みな集まっていますよ」

　こんのすけの言葉に促され、ギシギシと危うい廊下を進んで行く。

　ふと、ひとつの襖の前でこんのすけが立ち止まった。瞬間、ざわざわと騒がしかった襖の向こうが、ピタリと静かになった。

「新しい審神者様をお連れしました」

　こんのすけがそういって数秒、「入れ」という返事。

　若い男のものだったけれど、ここにいる神様とはそんなに若々しい容姿をしているんだろうか。

「よく来たな、審神者よ」

　現れた神様は、みな確かに神様といえるだろう美しい容姿をしていた。

　最奥にいる神様なんかは、思わず目を見張ってしまうくらいに美しい見目をしていた。

「初めまして。本日付でこの本丸に配属されることになりました、11号です」

　マスターの元で何度となく行っていた自己紹介をし、頭を下げる。「よいよい」と朗らかな声が聞こえ、ゆっくりと顔を上げた。

「じゅういちごう、とな。おぬし、ずいぶん変わった名をしておるのお」

「いえ、名前ではございません。そもそも、私たちに名前はありません。先程のものを正確に表すのならば、私たちを指し示す記号、のようなものでしょうか。なにか不都合がございましたら、どうぞ「A」とお呼びください」

「ふむ、A、か。それが名ではないのか」

「名前、といえばそうかもしれません。……以前、友人がそう呼んでいたものですから」

「そうか。いい名だな」

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