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※ここから少しセンシティブな内容含みます
れんくんの本棚奥にあった【それ】を持ちながら呆然としているとエプロンのポケットに入れたスマートフォンの振動が太ももに伝わった
…電話?…まさかれんくん…
ポケットをゴソゴソと漁ってスマートフォンを取り出す
ディスプレイには【矢花】の文字と共に見覚えのあるスヌーピーが表示される
なんだ、、矢花か、、
でも、ずっと音沙汰なかったのにどうして?
『も、もしもし?』
『先輩?久しぶりですね』
『珍しいね。矢花から電話なんて』
電話口の声が少し震えてしまう…
矢花は気にもとめないで話し続けるけど
『実はちょっと報告、、というか噂話というか…なんですけど』
『噂話?』
『大光、結婚するらしいんですよ』
『え、あの矢花と一緒にドラム借りに来た大光君でしょ!』
『そうです』
『ん?でもまって、矢花より2個ぐらい年下だったよね?』
『はい。今年で大学卒業です』
『学生結婚!?可愛い顔して中々やるねぇ』
『性格はちっとも可愛くないですから』
矢花と話すとなんだか少し気が紛れる…けど、目の前にある現実を見るとそうは言っていられず顔が青ざめていくのを感じる
『で、その相手っていうのがよくよく聞いたら』
『聞いたら、、?』
『嶺亜君の同級生らしくて』
『うっそ、そうなの?嶺亜も結婚式行くのかな』
『先輩も来ます?』
『やめとく、大光君とも中途半端な仲だし』
『そんなこと言ったらあいつ泣きますって』
矢花と楽しく話をしている最中に髪につけているピンが取れてしまったみたいだ。仕方がないので電話を耳につけながらも這って探す
…その時、再び棚の下にものが落ちているのを見た
少し腕を伸ばして手繰り寄せるようにする
…絶句。こんな言葉が正しいだろうか
急に言葉が止んだ私を心配して矢花が声をかけてくれる
『…どうしよう、、矢花…』
『え?どうしたんすか?』
『…れんくんの…いや、彼氏の部屋から変な粉と…注射器が出てきた…』
電話口の矢花も絶句しているのが伝わった
静寂の中で私の家と矢花の家の時計の音だけが聞こえる…あぁ、どうにかなってしまいそうだ
『ま、まだわかりませんよ…ほら、お菓子を砕いて持ってたら家族会議になったって有名な話もあるし…注射器だってそういう趣味かもしれないし…』
矢花が必死に慰めてくれるけど、やっぱり私は何も言えない
…疑うわけではないけど…いや、疑わないなんてできる状態でもない…

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マリエ(プロフ) - 妄想女子さん» 他担さんに読んでいただけて嬉しいです♩身に余るお言葉をいただきありがとうございます♡ (2023年9月23日 14時) (レス) id: 042a02654e (このIDを非表示/違反報告)
妄想女子(プロフ) - 本当に偶然このお話に出会って、他担なのですが、初めから最後まで3時間ぶっ通しで読み続けてしまいました笑すごく好みの作品に出会えて嬉しいです、ありがとうございました。 (2023年9月23日 4時) (レス) @page50 id: a281949802 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マリエ | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/taka231
作成日時:2022年10月26日 21時