夢、破れる ページ16
それから丸一年が経とうとしていた
世間では卒業シーズンだ
当の私といえば卒業するものはもうなく、まあ、強いて言うなら独身かな？なんて思う25の春だ
変わったことはあまりない…いや、一つ大きな違いがある
私は、れんくんと同棲を始めた
『A。おはよう』
『れんくん！おかえり、朝ごはん作っておいたよ！』
『ありがとう！Aのメシは美味いんだよな〜』
数年前まで岩石みたいなハンバーグ作ってたけどね
なんて言葉は奥底にしまって、昔から得意だったの！なんて言う
こんな小さな嘘なんてなんでもない
『あれ？A、準備は？』
『あぁ、今日ね、仕事休みなの』
『そうなの？じゃあゆっくりしてね』
ほら、れんくんって優しいでしょ？大丈夫。この人との未来が見える
『れんくん、仕事がんばって。いってらっしゃい』
『ありがとう』
れんくんはお礼を言ってすかさず私を抱きしめた。私…幸せになれそう、、
…でも、大好きだからこそれんくんが友達と飲みに行ったり、仕事に行ったりするのはこの上なく寂しい
何かしていないと気が紛れないから家の本棚から鏡台まで、中身を全部ひっくり返して掃除をする
自分でも少し病的だと思うけど、あと少しの辛抱だ。…きっと、結婚できる
れんくんは少し身の回りの整理整頓が苦手でいつもリビングを散らかす
…まぁ、そんなところも男の子らしくて可愛いんだけどね
上機嫌な私は、いつもは掃除をしないような棚の裏やコード類の整理なんかもした
ふと、れんくんがいつも使っている黒い本棚が目に入った
普段はそんな所、めんどくさがって掃除しないくせにその日は何故か手を本棚に進めたのだ
れんくんと同じくらい…いや、下手したられんくん以上にガサツな私がなぜいつも掃除しないところを掃除しようと思ったのかはよくわからない
それから私は本棚の端と端を持って慎重に自分の方向に傾ける
…本なんて読む見た目でも中身でもないくせに一丁前に本の入った本棚は女一人が抱えるにはあまりにも重すぎた
ふと、傾けた瞬間に…なにかが向こう側に落ちた音がした
やりたくはないけれど、本棚を何ミリか慎重に動かして奥に手を突っ込んでみる
これは….なに？ビニール？
ビニールのような手触りのそれはなかなか遠くまで入り込んでしまったようで私の腕では取れそうになかった
奥からペンを待ってきてなんとか取れたその後、私の心拍数は上がる一方だった
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マリエ(プロフ) - 妄想女子さん» 他担さんに読んでいただけて嬉しいです♩身に余るお言葉をいただきありがとうございます♡ (2023年9月23日 14時) (
レス) id: 042a02654e (このIDを非表示/違反報告)
妄想女子(プロフ) - 本当に偶然このお話に出会って、他担なのですが、初めから最後まで3時間ぶっ通しで読み続けてしまいました笑すごく好みの作品に出会えて嬉しいです、ありがとうございました。 (2023年9月23日 4時) (レス) @page50 id: a281949802 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マリエ | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/p/taka231
作成日時：2022年10月26日 21時
