私はラメントーソ (ページ31)

今日:46 hit、昨日:1 hit、合計:24,137 hit

．ページ31

『…慶！ちょっと変わって！』

『あぁ、うん…』

慶はその場にぐったりと座り込んで矢花がすかさずその体を支えていた

慶の瞳は潤んでいて、唇は真っ青、体はガタガタと震えていて私はすかさずその肩に手を置く

だけど、手を置いた時に気づいた
…私の手も震えているということに

『中村さん？』

『あぁ、Aちゃん』

『どうしたの？中村さん！』

『慶に言った通りなんだ…香苗さんが危ないらしい…』

危ないってなに？
…もしかしてお母さん、パチって暴力団にお金借りて逃げてるとか？それとも男と何か揉め事起こしたとか？

呆れた
もう何も聞く気にならないけど中村さんの様子が少しおかしいことに気づいてそのまま話を聞き続けることにした

『まさかお母さん、また男となんかあったの？それともスロットとか、、』

『違うんだ』

私がすこし茶化すように言うと中村さんが途中でその言葉を遮ってきた
…中村さんはどんな時だって私の話を最後まで聞いてくれた
私のちょっとした言葉でも遮ることなんて絶対になかったのに…

なのに

いつもより少しトーンの落ちた中村さんの方が耳の奥で響いた

『なか…むらさん？』

『…Aちゃんは香苗さんにもう一度会う気はある？』

『わからない…でも今でもまだお母さんのこと恨んでるわ』

『そう…だよね、、』

『でもね、中村さん』

『なに？』

『慶はもしかしたらお母さんに会いたいのかもしれない』

どんなに酷いことをされたって親は親だし子は子
…私は全くそう思わない、寧ろそんな考えがあるから世の中にたくさん問題があるのだと思う

だけど…慶は違うみたいだ
慶は未だに母親を想って…それだけじゃない私にも気を遣って母親に自由に会えないんだ

『慶だけでも行かせるわ、中村さんありがとう』

『いや…できることならAちゃんも来て欲しい。できれば今から、、』

『今から？』

『出来るだけ早く来て欲しいんだ』

『…早く？』

『今から言う病院に来て欲しい』

『病院？』

その言葉にそばにいた矢花と慶が反応する

まさか…お母さん
DV？

それとも誰かと揉めて殴られた？

『…男の人となんかあったの？…まさか、、、DVとか？』

『ちがう…ちがうんだ！』

また、私の言葉を遮った中村さんになんだか違和感を覚えた…もしかしてただならぬことではないのでは、、
中村さん…泣いてる？

『…君たちのお母さん…

危篤なんだ、、』