僕はアンプロンプチュ (ページ44)

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先輩の計らいで慶君と中村さん、そして先輩のお父さんは対面することになったのだ

『あ、あの…俺やっぱ邪魔ですよね、、』

『慶、どうする？』

『矢花君がよかったらでいいんだけど、、もう少しいてくれない？』

先輩ならともかく、慶君に言われてしまってはノーとは言えない
俺はトコトコと二人について行った

先輩のお父さんが手を振る先、そこにいたのはもちろん先輩お父さんと中村さん

…そして、先輩お母さん

『A！百万だって？おめでとう〜！』

お母さんが先輩に凄い勢いで抱きついて行く
あんな話を聞いた後だったから不信感しか生まれず、俺はなんだか居心地悪かった

『ありがと、、』

先輩も先輩でなんだかそっけなくて場の空気が非常に悪い、、

『…それであんた、何に使うか決めたの？』

『なんでそんなことお母さんに言わなきゃいけないのよ』

『そりゃあ、なんでって親なんだからに決まってんでしょ？子供がそんな大金手に入れて心配しない親なんてこの世の中にいないわ』

言ってることは至極まともなのだけれど、なにかこう…魂胆がある気がする…

『大体、百万百万って言うけど矢花と半分なんだから百万じゃないわよ』

『そうなの？』

『そんなにこの百万当てにしてたわけ？』

『あんた、親に向かってちょっと生意気なんじゃないの？』

だいぶまずい状況になっているので先輩のお父さんがまあまあと言ってその場を丸く収めようとした

『大体、あなたはどうしてここにいるの？』

そして矛先は、先輩のお父さんに向かった

『…俺だって父親なんだからAの姿ぐらい見たいさ、、』

『よく言うわよ、さっさと別の女と結婚したくせに』

『不倫したお前には言われたくない！！』

先輩のお母さんの顔がみるみる青ざめていって、ちらちらと先輩とお父さんを交互に見てる

もちろん、先に知っていた先輩はこの上なく澄ました顔をしてふん、とでも言うように顔をそっぽに向けた

『…お母さんもお父さんもこんなとこで揉めないでみっともない』

今回ばかりはオロオロとしている慶君の横でどっしりと構えてる先輩がなんだかすごく大人に見えた

一個しか違わないのに、、

『お母さん、私の預貯金勝手に使ったって本当なの？』

その場にいる誰もが息を呑んだ

『…なんで？』

『全部聞いたわよ』

彼女は先輩の言葉を聞くとぐったりとその場に膝をついて項垂れた

その姿になんだか可哀想とすら思えてしまったのだ