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『それでな!その頼みたいことなんやけど…矢花君。俺の歌に合わせて伴奏してくれん?』

『…えっ?俺っすか?』

『そうやで!』



突然の申し出に驚きを隠せない俺。友達がいない割にコミュニケーション能力が長けている先輩に助けを求めたいのだけど、向こうにいる先輩は高橋さんにデレデレで肝心な時に役に立たないなとイライラしてしまう



『矢花君、音楽科やろ?あいつに聞いたわ!』



大橋さんが指差す先には本日の合コンに俺を呼んだ友人が女の子二人に挟まれてデレデレとしている姿を見た

…どいつもこいつも、、!


『いいっすけど…ちょっとホームページ検索してみますね』

『ありがとう!』



とりあえずネットで自分の大学のホームページを開く
今まで意識してなかったけどこんなにイベントやってたのか、、



『…出場資格、、本校の生徒又は卒業生を含む団体である事…ってそういう事ですか。だから俺を?』

『ま、まあそれもあるんやけど!』



…嘘の下手くそな人だな、、目が鰯みたいに泳いでる



『でも卒業生でもいいんですね』

『あぁ、そうやねんなぁ…』

『卒業してからも母校で演奏できるなんて素敵ですよね〜』



大橋さんと軽く雑談していると後ろからかなり強い力で肩を叩かれるのを感じた


『…何ですか?って、先輩ですか』

『ねえ、今のどういう事?』

『どういう事って、、?』

『卒業生でも母校で演奏できるって』



俺は先輩にさっき大橋さんが言ってたことを丸ごと説明する
難しそうに何かを考え込んでいる先輩だったがいきなりパッと顔が明るくなった



『…先輩の考えてる事なんとなくわかりますけど』

『何よ?いってみ!』

『嶺亜く…』

『ストップストップ!!やっぱなんか見透かされてて恥ずかしい!』

『見透かすというか一目でわかりますけどね?』

『…矢花なんかうざい』

『別にいいですようざくて。というか、嶺亜君。出るとしても誰と出るんですか?』

『それは…』



こう言っちゃ何だけど、嶺亜君が作る歌はなんというか…癖がある

相手側が拒否するならともかく肝心の嶺亜君が自分の音楽をわからないやつとは一緒に居たくないという若干凝り固まった考えの持ち主なので困ったところだ


『…矢花、お願い。嶺亜と一緒に出てあげて、、』

『それはいいですけど俺は一人しかいないので楽器は一つしか演奏できませんよ?』

『それが困ったところなのよ、、誰か頼む人いない?』

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作者名:マリエ | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/taka231  
作成日時:2022年4月15日 22時

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