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「そうだ！電話してみる？」
かかってきた電話がコナン君なら出る可能性が高いということで、コナン君の携帯から俺が電話をかけてみることにした。
呼び出し音がしばらく鳴って、電話を切ろうとしたその時。
『…もしもし？コナン君？』
Aさんの声が聞こえた。
「…もしもしAさん。安室です」
「安室さん、どうしたの？」
無言で携帯をコナン君に返し考え込む俺をコナン君が見上げた。
「…名前言った途端切られた」
「…そうとう避けられてるみたいだね」
あはは、と苦笑いするコナン君。
「そうみたいだね…」
俺は力なく微笑んだ。
それから、Aさんに会うために俺は色々な手段を試したが、結局会うことも話すことも出来なかった。
「安室さんがそんなに必死になるなんて珍しいね」
なんてコナン君に言われてしまったが、好きな女性に避けられてるんだ。
かっこ悪いなんて言ってられない。
最低でも、避けられている理由を知らなきゃ引き下がれない。
これはもう意地だった。
＊
…彼女、なかなかのやり手だ。
ストーカーのごとく彼女を追っているのに全く会えない。公安であるこの俺が。
彼女と連絡を取ろうと奮闘して何週間か過ぎた。
俺は沖矢昴という胡散臭い男が住んでいる工藤邸を張り込みながら携帯を開いた。
相変わらずAさんからはメッセージは来ていないし、既読もついていない。
「はぁ…潮時か………っ！」
溜息をつきながらふと見ると、Aさんが工藤邸から出てくるところだった。
「…A、さん…」
絶好のチャンスだと言うのに、俺は動けなかった。
聞きたいことも言いたいことも沢山あった。
しかしそれ以上に、工藤邸から彼女が出てきたという事実に衝撃を受けていた。
彼女が見えなくなっていくのを呆然と見送ってから、停止していた思考が動き出した。
…なんで彼女が工藤邸から出てくるんだ。
沖矢昴と彼女が付き合っているとか、彼女が沖矢昴をターゲットにトラップを仕掛けているとか、可能性はいくらでも思いついた。
…確実に言える事が一つだけある。
やはり俺は、彼女のハニートラップのターゲットでしかなかった。
それ以上でもそれ以下でもないのだ。
「…ふっ…」
…何を期待していたのか。
額に手を当てて自分を嘲笑する。
彼女がトラップを仕掛けてきていた事なんて最初から気づいていた事じゃないか。
そう、彼女にとって俺は、特別でも何でもないんだ。
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椿 - えだまめさん» コメントありがとうございます！！多分どんどんグダグダになっちゃうと思うのですが、変わらず応援してくれたら幸いです！ (2020年1月29日 12時) (
レス) id: 55324010a1 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ - おもっしろい！夢主ちゃんと安室さんのすれ違いが凄くてもどかしい。でもそのムズムズ感も楽しいです！ストーリーもしっかりしてるけど、サクサク読める速さの流れなので毎回毎回が気になります。更新頑張ってください！応援しています！ (2020年1月28日 17時) (レス) id: e05e54b6fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：椿 | 作成日時：2020年1月16日 19時
