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園子Aさん!今日一緒にバイキング行きましょ!
朝起きるとそんなメッセージが来ていた。
唐突すぎる要件に驚きつつ、誘ってくれることが嬉しいし、彼女を可愛く感じた。
Aいいよ
園子やった!じゃあ今日の20時、ポアロの前に集合ね!
バイキングなんて久しぶり。楽しみだ。
ほっこりした気持ちになっていると、他のメッセージも目についた。
安室Aさん、すみませんでした。
昨日のことを思い出し胸がぎゅっと苦しくなった。
私はその事実から目を背けるように、彼のメッセージに返信をせず携帯を置いた。
私は家の鍵を持っていないので赤井さんの家から出て適当に時間を潰し、約束の時間にポアロの前へやってきた。
程なくして蘭ちゃんとコナン君が上から降りてきて、3人でお喋りしながら園子ちゃんを待っていた。
「らーん!Aさーん!」
しばらくすると、車の窓から身を乗り出して私たちに大きく手を振る園子ちゃんをみつけた。
その車は私たちの目の前に静かに停められたが、私は驚きを隠せなかった。
なぜって、黒塗りのリムジンだったからだ。
バイキングに行くだけなのにリムジンなんて、さすが鈴木財閥だ、と思いながら蘭ちゃんに続いて車に乗り込む。
中はとても広く、シートはふかふかで乗り心地は抜群だ。
「園子、本当に私たち行っても大丈夫?」
蘭ちゃんが心配そうに園子ちゃんに尋ねた。
「大丈夫よ!そんな大きなパーティーじゃないし!」
『…パーティー?』
「あれ、Aさん聞いてないの?」
私が怪訝そうな顔をしていたのに目ざとく気づいたコナン君が私を見上げる。
「今日は園子姉ちゃんの親戚の誕生日パーティーなんだって!」
あどけないコナン君の声に、私は『えっ!』と思わず反応した。
『私はバイキングとしか…』
「ちょっと園子、Aさんに言ってなかったの?」
「あ、ごめん!Aさん!言うの忘れてた!」
『それは全然いいんだけど…私、そんなパーティー用の服とか持ってないし…』
「それなら安心して!会場のクローゼットにあるパーティードレスはどれでも着ていいから!」
園子ちゃんがえっへん、というふうに胸を張る。
園子ちゃんはどんなにお金持ちでも、仕草や喋り方は気取っていなくて親近感が湧く。
それに人懐っこくて本当に可愛い。
『じゃあ、お借りします』
私はそんな園子ちゃんに和みながら頭を下げた。
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椿 - えだまめさん» コメントありがとうございます!!多分どんどんグダグダになっちゃうと思うのですが、変わらず応援してくれたら幸いです! (2020年1月29日 12時) (レス) id: 55324010a1 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ - おもっしろい!夢主ちゃんと安室さんのすれ違いが凄くてもどかしい。でもそのムズムズ感も楽しいです!ストーリーもしっかりしてるけど、サクサク読める速さの流れなので毎回毎回が気になります。更新頑張ってください!応援しています! (2020年1月28日 17時) (レス) id: e05e54b6fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2020年1月16日 19時