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26歳
東都大学 大学院 心理学部1年生
「怪しい事は何も出てきませんでした」
「そうか、ありがとう、助かった」
俺は風見との電話を切ると、彼女の情報が書き連ねてあるパソコン画面を目の前に小さくため息をついた。
どこにもおかしいところは無い、潔白の情報が並んでいた。
彼女は黒か白かの2択になった。
この情報が偽造されたものである可能性も捨てきれないからだ。
そうなれば彼女は言うまでもなく黒。
ハニートラップは様子を見ながら続行すべきだろう。
彼女は警戒心が強い様子なので、前回のような強引な手は辞めて少しずつ距離を詰めることにした。
「それにしても…」
『あ、あの、安室さん…っ』
安室として借りている部屋に彼女を連れ込んだ時の映像がフラッシュバックする。
クールで、余裕で、隙がない。
そんな印象だった彼女。
強気にも俺を押し倒して、妖艶に笑って見せた彼女が、あんなにもウブだったなんて。
潤んだ瞳で懇願するように俺を見つめる彼女に、不覚にも目を奪われてしまった。
ハニートラップの対象、いわば敵だと言うのに。
…あの夜、俺達はなにもしてない。
ただのトラップにそんなに労力をかける必要ないので、俺はいつもいい雰囲気になったところで情報を聞き出す。
だが、彼女の反応を見て、俺は何も聞けなくなってしまった。それ以上、何もできなくなってしまった。
ちょっと体制を逆にして両手を軽く押さえつけただけなのに、あんな、
「…っ、はあ〜」
ちょっと顔と反応が俺の好みだっただけ。
そして少し寝不足だっただけだ。
仕事に私情は挟めない。
しっかりしろ、俺。
パソコンを閉じて、俺は仮眠を取るために立ち上がった。
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椿 - えだまめさん» コメントありがとうございます!!多分どんどんグダグダになっちゃうと思うのですが、変わらず応援してくれたら幸いです! (2020年1月29日 12時) (レス) id: 55324010a1 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ - おもっしろい!夢主ちゃんと安室さんのすれ違いが凄くてもどかしい。でもそのムズムズ感も楽しいです!ストーリーもしっかりしてるけど、サクサク読める速さの流れなので毎回毎回が気になります。更新頑張ってください!応援しています! (2020年1月28日 17時) (レス) id: e05e54b6fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2020年1月16日 19時