月とオレンジ 10

383 満員電車 ページ37

駅に着くと

ホームに来た電車に滑り込んだ





平日の朝






通勤電車はいつも満員







あ…





「みっくん！？//」





スーツ姿のみっくんが目の前に立っていた





ミツ「おぉ。」



って、私たちを見て言う






私たちを捉えたみっくんの視線が

下に動いたかと

思うと私たちの手元に注がれている







あ//



手繋ぎっぱなし//







咄嗟に手を離すと太輔がふとこちらを見た






太「おはよ。」






…。





…。






２人の視線が重なると






なんだ？この沈黙は…



電車内だから？妙な間がなんか気まずい…






と思っていると





〜♪







駅に止まった電車に

またホームからの人波が押し寄せた







わ//







その波に割かれるようにして

太輔と別の方向へ押し流される







ヤバイ//倒れる//


って、思ったときに体がフワッて







え//


腰に回された腕を辿ると







ミツ「つかまってろ。」




いや、待って//

こんな密着してて…ダメ//







って離れようとすると電車のブレーキで

バランスを崩す私をまた抱き寄せた






…！//








ミツ「危ねーだろ。」






仕方なく大人しくみっくんに寄り添って立つ







ミツ「昨日、泊まったの？」








「え！？//」







ミツ「藤ヶ谷んち。」






な、な、何を聞くんだって焦る






だって…







『抱きたい…』






昨夜のことが頭を過る//








ミツ「ふーん。」






私の顔を覗き込む






「な、なに！？//」







ミツ「それ、隠してから会社行けよ。」






それ？






「私、何かついてる？//」





って聞くと



ミツ「ここ。」



って首もとに触れるから、ビクって







…//







ここ？

鞄から鏡を出して見てみると






首筋にアザみたいなのがある





「なにこれ…」






擦ってみても消えない








ミツ「消えねーよ。

それ、キスマークだから。」







キスマーク//…って、これなんだ





え//昨日の//







恥ずかしい//でも、なんか//





うれしいって思っちゃうよ//





人混みの中太輔を探す







ミツ「展開、早。 もうやったの？」






ボソッと漏らす





「や、やったって//」






やめてよこんなとこで//



しかも朝から//






みっくんの手がまた首にかかると




痛//





首筋につねられたような痛みが走る






「何すんの！？//」

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