月とオレンジ 6

159 金曜の夜 ページ6

週末の夜

会社で残業していると

不意に電話が鳴った






Prrr……





藤ヶ谷先輩から……





どうしたんだろ……何か仕事の話？



そう思いながら電話に出ると






「もしもし！？

あーよかったー。繋がってー。」






って、聞き覚えのない声と

遠くに聞こえる騒がしい音








「この携帯の持ち主さんと

お知り合いですよね？






すみません……僕、○○って居酒屋の

店員なんですけど、お客さん

かなり飲んで酔っぱらって

寝ちゃったんですよ……。






困っちゃってて……申し訳ないんですけど

もし可能ならお迎えに来て頂けますか？」






え……酔っぱらってる？




寝ちゃった？





何かあったんだって……直感







時計を見ると終電間際





急いでお店に先輩を迎えに行った







店「あ、すみませんねー。こちらです。」






奥の座敷で机につっぷして

眠っているのはスーツ姿の藤ヶ谷先輩







確か今日も早めに帰宅した






でもスーツってことは、どこかに寄ったんだ







金曜日の夜




……どこか


酔いつぶれた先輩






……。







「先輩？藤ヶ谷先輩？」






話しかけても反応がないから

ほっぺをペチペチってすると







藤「ん？あ、Aちゃん？





あれ、俺寝ちゃってたー？

ごめんごめん(笑)」







真っ赤な返してふわーてっ笑う




もう完全に出来上がってる感じ







このまま一人で帰すわけにはいかなくて

店員さんにタクシーを呼んでもらって

藤ヶ谷先輩の家まで送ることにした







タクシーの揺れが気持ちいいのか

また目を閉じてウトウトする先輩が

コテッて肩にもたれてきた







……//







ちょっとドキドキしながらも

マンションの前に着くと先輩を起こして

部屋まで一緒に運んだ








ベッドにドサッて仰向けに寝転がると

ふーってうつろな目で天井を見上げている








「先輩……大丈夫ですか？

お水……」








キッチンでコップに水を入れてきて

ベッドに座り直した先輩に手渡すと

一口口に含んでから









藤「ごめんね……迷惑かけて。


あ、てか……俺……」






って……ぼんやりしてる






ん？……帰って来るまでのこと

覚えてないのかな……って、経緯を説明すると







藤「そっか。マジでごめん」






って、大きなため息を漏らした





……。

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