月とオレンジ 2

96 単純じゃない ページ48

あの藤ヶ谷先輩に

なんたるご無礼を//






藤ヶ谷先輩が私なんかを

気になってるわけないのに//







でも、みっくんがそんなこと聞くなんて//








なんか……私

みっくんにちょっと想われてたり//







……都合よく一瞬舞い上がるけど








『こいつの母親に頼まれてるだけ』





『俺たちはそんなんじゃない』






『俺には、美紀が居るし』








昨日の二階堂さんたちとの会話を思い出すと

そんなわけないか……ってなる









藤「北山、何も言わなかったけど

まさか俺がそんな風に返すと

思わなかったんじゃないかな。」







確かに……そうだと思う








あの藤ヶ谷先輩が私なんかを……って

みっくんじゃなくても思うはずだ








というか、事実、気になってるとか……

そういうのじゃないし








「みっくんがそんなこと聞くのは

私を心配してくれてるんだと思います。





……幼馴染みとして。






うちの親とも仲いいんで

よろしくなんて頼まれちゃってるんですよ//






みっくん、あれでいて真面目なところも

あるから、藤ヶ谷先輩にもそんなこと……//」







藤ヶ谷「にも？」









って、聞く先輩に

昨日の二階堂さんとみっくんのやり取りを

話した







藤「……そっか。





北山がそんなこと……。






んー」







何か考え込むみたいに







藤「……分かんない。




なんか、やっぱり幼馴染みって難しいね。





単純そうで……単純じゃないから。」





単純そうで……単純じゃない……







その言葉の意味はよく分からなかったけど






藤ヶ谷先輩が今誰を想ってるのかは

すぐに分かる……






だからまた、胸がギュッて









藤「わざわざ、ありがとね。」







駅の前まで来ると足を止めて言う







「いえ……こちらこそ//」







藤「俺さ、あんな風に話したの

Aちゃんが初めてなんだよね。」







昨日の咲良さんの話





先輩の好きな人






初めて……








きっと誰にも言えなかったんだと思った






幼馴染みはすごく近い存在で

だからこそ誰かに相談しにくい







それは、私が身をもって

経験してきたことだったから






だって、私とみっくんの関係を

誰もが腐れ縁と思うだろうし

恋愛感情が無いからこそ成立している

関係だと周りからは当たり前に思われている

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