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32 桜 ページ33

「いえ、さっきまでは

居たんですけど//」





藤「そっか(笑)いい?」






靴を脱いでシートに上がると

隣に腰を下ろした








藤「晴れてよかったね。

4月って言ってもわりと寒いから。」





桜の木の下






みっくんが上着を貸してくれたことを

思いだすと、ここには居ないはずの

みっくんの匂いがするみたいで胸が温かくなる







「桜、好きなんですか?」







満開に咲き誇る薄紅色の小さな花に

携帯をかざす藤ヶ谷先輩







藤「うん。好きかなー。わりと。」







お、なかなかよく撮れたって

画面を確認して満足そうにしている







「わりと……」



とは……






藤「あ、なんか曖昧だったね(笑)

みんなで見る桜は好きかな。

お花見とか、楽しいじゃん。


でも、一人で見る桜は……あんまりなんだよね。





こんなに綺麗なのに……なんか、寂しくなる。


見てるだけで苦しくて……泣きたくなる。」








そんな風に言う藤ヶ谷先輩の横顔が

なんだかとても切なくて

胸がギュッてされるみたいだった





そういえば高校時代の先輩も

いつもどこか寂しそうだった






でも、それは単にクールで物静かだからだって






本当の意味で藤ヶ谷先輩と知り合って1週間





ほんのわずかな時間しか

一緒に居ないのに……居ないから……






この人は本当はどんな人なんだろうって







穏やかで優しくて

だからこそ……よめない







完璧な王子様にも何かあるのかな







だって、桜を見て泣きそうになるなんて

そこにきっと悲しい思い出があるからだ








そう思って、また頭に浮かべるのは

みっくんのこと







子どもの頃、あの場所






実家の近くの桜の木の下は

私の大好きな場所だった






それは単にみっくんと会える場所だったから






でも、彼が町を出てからあの場所は

私にとって寂しい場所だった







特に桜が咲く頃は花の香りに

みっくんを想ってしまうから






みっくんに会いたくて

たまらなくなってしまうから







藤「何言ってんだろうね……俺。気持ち悪(笑)」






言葉を返さない私に、照れたように笑う







「本当ですね。」






藤「え?」





私の言葉が意外だったみたいだ






「本当にそうだと思います。

みんなで見る桜と一人で見る桜は違う。

同じはずなのに……不思議。」

33 桜→←31 お花見



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もも(プロフ) - ミィさん» コメントありがとうございます☆そう言って頂けてとても嬉しいです(^^)私自身が切ないのが好きで…現実にはきついですが、物語なので( ̄∇ ̄*)ゞこれからも気長にお付き合いください(*^^*) (2019年5月6日 21時) (レス) id: 0e833b3ebd (このIDを非表示/違反報告)
ミィ(プロフ) - 新作、嬉しいです。ももさんの作品は切ないものが多いですが、とても大好きです。今回は最初からもう、切なくて・・・今後も楽しみにしていますね。 (2019年5月6日 17時) (レス) id: 1dbee522b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もも | 作成日時:2019年5月5日 0時

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