9 さよならの決意 ページ15
翌朝
私はすぐに太輔の病室へ向かった
花でも持っていきたいけれど
手に取ることさえできない
朝の病院はとても静かだ
部屋に入ると
昨日と同じ
太輔が横になっていた
まるで…ただ眠ってるみたい
すぐに目を覚ましそうなのに
彼の脇に近寄って
その手に触れようとしたけど
やっぱり触れられない
聞こえてくる息づかいだけで
体温を感じることさえできない
仕方ない…
私はもうこの世の住人ではないんだから
それから一日中、私は太輔の傍に居た
「太輔…ごめんね。
私がワガママ言ったから…。
お願い…目を開けて。」
そう言っても、君には届かない
誰にも届かない
悔しくて、情けなくて涙が出るけど
床に溢れ落ちる前に消えてなくなる
私はやっぱり…ここには存在していない
なら…私は
太輔が目を覚ましたら、私は成仏する
こうして太輔を見つめることさえできなくなる
ガラ
そこへ入ってきたのは横尾さんだった
横尾「太輔。元気か？」
そう言いながら、太輔に触れると
ベッド脇の椅子に腰かけた
横尾「太輔聞いてよ。今日、収録でさ…」
横尾さんは今日あった出来事を話した
横尾「太輔…、早く目を覚ませよ。」
…。
横尾「みんな待ってるんだぞ？」
…。
横尾「Aちゃんも。
お前が来てくれんの待ってるだろーが。」
私…
横尾「ちゃんと言うんじゃなかったのかよ…
あの海で、結婚のこと。」
結婚…？
横尾「将来は結婚したいって言ってたじゃん。
だから、一緒に暮らそうって言うんだって」
一緒に…
そんなこと…聞いたことなかった
「横尾さん、本当に太輔はそんなこと…。」
思わず、口にするけど聞こえるわけない
横尾「早く目を覚ませ。な？」
すごく辛そうな顔
太輔は全く反応しない
知らなかった
太輔がそんなこと話してたなんて
あの日…あの海で
なんで…なんで事故なんかに
どうして…
もしもあの時…車に乗らなかったら
もしもあの時…信号が赤だったら
もしもあの時…
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美希(プロフ) - ももさん！新作待っていましたー☆ まだこれからなのに続きが気になり更新が楽しみです(^-^) (2020年5月29日 6時) (
レス) id: 9bf00cb10a (このIDを非表示/違反報告)
ぴーち(プロフ) - こんにちは！新作待ってました！まだ序盤なのに鼻の奥がツンとします…。 (2020年5月28日 22時) (レス) id: a35dab13d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もも
| 作成日時：2020年5月28日 21時
