STORY04 再会(2) ページ6
「ふふ、驚かせてごめんなさいね。敵情視察に来たんです。よそのお団子の味も知っておかないとでしょう?」
出会った時のように、悪戯っ子みてーに笑った。
いや、でもそこじゃねーだろ。
ちげーよ。
団子食うのは好きにしてくれ。
「そうじゃねェ。何で声をかけてきたのかって話でさァ。」
「ああ…それは、この前姉上って呼んでいただいたとき…。」
やっぱこの話か。
これ以上聞きたくなくて、彼女から視線を外す。
何とか逃げる方法はないか?
だがもう団子は頼んでしまった。
逃げられねェ。
話題を逸らすしか方法が…。
「私も、貴方が弟に似ていて驚いたんです。だからつい、お声がけを。…ごめんなさい、ご迷惑だったかしら。」
思っていた理由と違い、目が点になる。
外した目線を戻した。
てっきりからかわれるか、言い寄ってくるか、客引きか。
そのどれかだと思った。
申し訳なさそうにしている彼女に、大丈夫であることを伝えなきゃいけねェのはわかっているが、やっぱり出てくる言葉は違うもので。
「…弟? 弟がいるんですかィ?」
「ええ、貴方と同じ髪色で、貴方と同じくらいの背丈の弟が。…今は離れて暮らしているのだけれど。」
少し寂しそうに笑った。
それもまた、絵になった。
…一緒だ。
「俺も。…俺も、姉上とは…。」
貴方のようにまた会えるわけではない。
二度と会えねーところに姉上はいる。
でも、元気づけてあげたい。
彼女の表情から、あまり会えていないのだと察した。
あえて言葉の続きは言わなかった。
「はい、お団子3つと2つだよ! あと、アンタたち美男美女でお似合いだから、サービスサービス。」
「えっいいんですか!」
「いいのよ〜また来てちょうだいね。」
「ありがとうございます!」
机には頼んだ団子と共に、三色団子と黒蜜団子が2本ずつ置かれた。
ばばあも物凄い笑顔だったが、彼女の笑顔はもっといい笑顔だった。
嬉しそうだ。
アクアマリンの瞳がキラキラと輝いている。
看板娘してるくれーだし、団子が好きなんだろう。
ばばあのお似合いだからという言葉に咽せそうになったが、彼女が気にしていないならばと気にしていないふりをした。
彼女が大人で少し悔しい。
まあ実際大人なんだけど。
…嬉しそうだからいいか。
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たいる(プロフ) - わかさん» こっちにもコメントくださってたんですね!笑ありがとうございます。笑っていただけて良かったです笑笑 (2021年7月11日 17時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
わか - ミョウバンは笑った!!笑笑 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たいる | 作成日時:2021年1月8日 0時