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STORY31 少しのお別れ ページ33

自惚れるな。
確かなことじゃない。
慎重に答えを出せ。

そう私が言った。


まだ、かもしれない、だといいな、など不確かな推量や願望でしかない段階なのだ。
ぬか喜びしたり、恥をかくのは遠慮したい。
だって彼とはずっと姉弟のように接していたのだから。
一緒に居れなくなっちゃうのも嫌だ。


それに、まだ準備ができてない。
実家に、帰らなきゃ。


ちょうど団子屋に着いた。


「総悟君、送ってくれてありがとう。」

「いえいえ、こちらこそ待っててくれてありがとうございやす。」

「…どうして送ってくれたの? …一緒に帰りたいって思ってくれたの?」

「えっ…あー…。」


向こうの気持ちを確かめるために、少し攻めた言い方をした。
いや、勝手に優位に立った気になっただけかもしれない。

…やりすぎたのかも。
それとも、私の答えが違った?
総悟君の目が揺れた。
なんてね。なんて、言えば戻るかな。


「…はい。…ばれやしたか。」


総悟君の照れた顔。
真っ直ぐこちらを見る瞳。
…弟でも好いている人でも、どっちでもしそう。
どうしても結論が出ない。
ずっと、仮定のままだ。

でも私の気持ちは仮定じゃないから、顔に熱を感じる。

…これはうつっただけだから。
総悟君が照れるから、こっちまで恥ずかしくなっちゃっただけだから。
なんて誰相手にするわけでもなく、言い訳を心の中で口にする。


あー…言わなきゃ。
ほんの少しの、お別れを。


「…総悟君。私、実家に帰ろうと思うの。」

「え…。」

「団子屋もあるしすぐには無理だけど…。」

「Aさん、いなくなっちまうんですかィ…?」


_____どうしても行くの、姉上。

やめてよ、そんな顔。
…弟の顔が、被ってしまう。

もう会えないのではないか。
そんな不安そうな瞳が揺れる。
以前弟にもさせた、同じ表情。

こんなむごい過ちを、二度も繰り返してしまった。


「もう、帰ってこないんで…?」

「んーん、帰ってくるよ。いつになるかわからないけど、ちゃんと帰ってくる。…なるべく早くね。」

「…俺、待ってまさァ。…変わらずここで、待ってやす。」


私が悪戯っぽく笑うと、総悟君は下手くそに笑った。

…そんなところまで、似ないで。
寂しがり屋で、私に行かないでって言い続けた。
最後は私のために笑って送ってくれた優しい弟。

貴方は私の弟ではないけど、やっぱりどこか似てる。


「また、挨拶に伺う予定だから。よろしくね。」

「ええ。」


___それも、待ってやす。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 団子屋   
作品ジャンル:アニメ
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たいる(プロフ) - わかさん» こっちにもコメントくださってたんですね!笑ありがとうございます。笑っていただけて良かったです笑笑 (2021年7月11日 17時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
わか - ミョウバンは笑った!!笑笑 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たいる | 作成日時:2021年1月8日 0時

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