STORY29 土方の心配事(2) ページ31
「真選組は危ねー仕事だし、いつおっちぬかもわからねえ。いざというときにそばにいねーかもしれねえ。それに、お前より江戸を優先させなくてはいけないという事態も、ありえる。」
土方さんの目は、本気だった。
本気で心配してる目。
多分これは、私じゃない。
総悟君の心配だ。
「総悟の近くにいるせいで、人質に取られたり、今日みたいに危険な目にあうかもしれねえ。…それでもお前は総悟の隣にいることを望むのか?」
「…望みます。総悟君が望んでくれるなら、私も望みます。私だって多少の危機なら自分で解決できます。」
あの土方さんが、少し微笑んだ気がした。
「真選組の仕事が優先になるかもしれないことだって、わかっています。だって総悟君は、真選組にいる時が1番輝いていますからね。」
「そうか。…まず最初に謝っとく。すまねえ。」
「え?」
「実はお前のこと、調べさせてもらった。」
意味がわからなかった。
真意を聞くためにも土方さんをじっと見つめる。
「警察の身内になるんだ。抜き打ちで身辺調査をさせてもらった。」
「な…。」
いや、意味はわかる。
もし警察の身内になるなら、犯罪歴から家柄まで念のため調べる必要がある。
…いやいや。
「私、総悟君の身内になるって決まったわけじゃ…。」
まだ彼をおとす自信もないし、私の一方通行の想い。
「なんだ。まだ気づかねえのか?」
「え? 気づくって…。」
何を。
そう言いかけた私に、土方さんは、俺からは何も言わねえ。とだけ言った。
何ですかそれ。
途中でやめられると気になって仕方ない。
でも、口の堅そうな土方さんは、言いそうもなかった。
「まあ、なんだ。調べた結果、総悟の相手として特に問題はない。お前がそこらの女どころか男よりも強いことはわかった。もし危険な目にあっても、多少のことなら自分で切り抜けられそうなこともわかった。ただ___。」
「父親と話し合いをして、同意をもらえ、ですよね。」
「そうだ。親父さんときちんと話してこい。」
「同意、もらえますかね。」
「…もらえんじゃねえの? ちゃんと話せば。」
話してもらえるかも怪しいんですけど。
「私もう大人なのに。まだ親の許可がいるのかー。」
「別に本来はいらねえが…もやもやすんだろ。お前も、総悟も。」
「そうですね。…そうでした。」
そこからは何も話さず、ただ2人で総悟君を待った。
土方さんはタバコを吸い、私はひたすらタオルを目にあてた。
STORY30 帰り道→←STORY28 土方の心配事(1)
194人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たいる(プロフ) - わかさん» こっちにもコメントくださってたんですね!笑ありがとうございます。笑っていただけて良かったです笑笑 (2021年7月11日 17時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
わか - ミョウバンは笑った!!笑笑 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たいる | 作成日時:2021年1月8日 0時