STORY25 テロ ページ27
Aさんを逃がす前に、大勢の浪人が店に入ってきた。
っち、遅かったか。
このくれー大したことはねーが、Aさんが心配だ。
「Aさん、俺のそばを離れないでくだせェ。…あと、あまり見ねー方がいい。」
本当はこんな姿見せたくなかった。
可愛い弟でいたかった。
わりーなAさん。
俺ァ、そんなに可愛くねーんだ。
「真選組の沖田総悟だな? 覚悟しやがれ!」
「うるせーてめーら全員アレだ。ぶったぎる。Aさんを危険な目に合わせた罪はデケェ。」
Aさんの目の前で、人を斬る。
あまり見るなとは言ったが、全て見ないなんて無理な話だ。
殺したわけじゃねーが、動けねーくらいには重傷で、血の匂いがすごい。
…怯えて、いるだろうか。
「すいやせん。…俺は血に塗れた人間で、人を斬るのが仕事なんでさァ。いつ死んでもおかしくねーし、今日もAさんを巻き込んじまいやした。」
Aさんの顔が見れない。
目の前の敵より、彼女の反応の方が恐ろしくて。
俺の周りの女は、チャイナとか局長のストーカーをものともしないような姐さんとか、無駄に剣筋のいい見廻組副長とか、名門のお嬢とか。
そんな化け物ばっかだから、普通の女がわかんねェ。
…嫌われたくない。
そんなことばかり考える。
「同じ髪色でも、アンタの瞳は澄んでる。綺麗な、アクアマリンの瞳でさァ。それに対して俺の目は赤黒く濁った血の色。人殺しの目でィ。」
返事を聞かずに、ただ自分だけ自嘲気味に喋る。
黙れよ俺。
こんなの、優しいAさんにつけこんで、そんなことないって言って欲しいだけでぃ。
あーーー女々しい。
「なーに1人で喋ってんだ!」
「バ、バカつええ!!?」
「頭、あんな化け物に勝てねっすよ!」
「うるせーさっさと神妙にお縄につきやがれ。」
・
・
全て片付けた後、Aさんに向き合った。
…やっぱり顔は、見れなかった。
「本当に強いのね。さすが真選組の1番隊隊長。…何をそんなに恐れているの? 私こんなのへっちゃらよ総悟君。」
「へ…。」
「貴方の瞳は、血の色なんかじゃない。初めて見たとき、ルビーみたいで綺麗って思ったの覚えてる。」
「ルビー…いや、俺はそんなんじゃ。」
「守ってくれてありがとう、真選組の総悟君。…それに私も澄んだ瞳なんかじゃないの。私…そんなに弱くない、よ!」
目にも止まらぬ速さで、俺の刀を抜き…刺した。
理解が、できなかった。
何が起こった?
「A、さん…?」
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たいる(プロフ) - わかさん» こっちにもコメントくださってたんですね!笑ありがとうございます。笑っていただけて良かったです笑笑 (2021年7月11日 17時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
わか - ミョウバンは笑った!!笑笑 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たいる | 作成日時:2021年1月8日 0時