STORY21 歳をとっても綺麗な ページ23
店を閉めて、今はおばあちゃんの作った晩御飯を食べている。
「今日も美味しいです〜!」
「あらそうかい? 嬉しいねぇ。」
「けっ…いつも同じだ。」
おじいちゃんの言ういつも同じっていうのは、いつも同じく美味しいって意味だ。可愛い。
私もいつか、こんな風に…なんて。
あまり簡単な話じゃない。
だって私は___。
「そういえば、沖田さん! やるわね、Aちゃんをデートに誘うなんて。」
「ちょっとおばあちゃん!」
突然話を振られて驚く。
不意打ちだったから、顔の火照りも止まらない。
お誘いには乗った。
なんとなく緊張した様子の総悟君に、声が上擦った。
総悟君は嬉しそうに安堵の息を吐いた。
私も、嬉しかった。
…やっぱり私、好きみたい。
「沖田ぁ? あの色男か?」
「そうそう、あのイケメン! ふふ、何を着て行くの? やっぱりあれが可愛いかしら!」
「ああいう男は綺麗めが好きかもしれんぞ。年下だし。」
「確かにそうね…じゃああっちかしら。」
本人のいないところで、どんどん話を進める2人。
恥ずかしくて恥ずかしくて。
消えてしまいたい…。
「も、もう勘弁してください…。」
頭が沸騰しそうだ。
「若いっていいわね!」
「私、彼の姉に似ているようなんです。だから懐いてくれているだけで、デートって言ってもそういう意味じゃ…。」
「私にはそんな風には見えなかったけど…貴方は違うんでしょう?」
「…はい。」
私の気持ちが見透かされていて、恥ずかしい。
「もし仮に貴方を姉だと見ていたとしても、好かれていることにかわりないじゃない? 諦める必要ないわ。」
「だがお前さん…もし、一緒になんなら。」
「ちょっと貴方、その話は…。」
「大事なことだ。…本当に添い遂げる気があるなら、身の回りの整理をして、自分の身を固めなさい。」
頭の熱が、すっかり冷めた。
おじいちゃんは、正しい。
皆まで言わずとも、何を指しているのかわかった。
「…はい。…ずっと逃げているわけには…いきませんよね。」
「っまあまあ! まずは沖田さんとのデートよ。…そんなに急がなくたっていいじゃない。貴方は、貴方のペースで歩んでいけばいいのよ。いつだって私が力になるわ。…だから、その下手くそな笑顔はおやめなさい。」
おばあちゃんは綺麗に笑った。
こんなにも歳をとっているのに、もう顔はしわくちゃなのに。
__とても綺麗だ。
「…ありがとう、ございます。」
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たいる(プロフ) - わかさん» こっちにもコメントくださってたんですね!笑ありがとうございます。笑っていただけて良かったです笑笑 (2021年7月11日 17時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
わか - ミョウバンは笑った!!笑笑 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たいる | 作成日時:2021年1月8日 0時