STORY13 嫉妬と反省と忠告 ページ15
あっぶね…。
屯所に帰って少しばかり反省した。
土方があの団子屋に来たくれーで。
ありゃ何だ?
嫉妬か?
まさか…。
いやでもさもありなん、だな。
土方には姉上とられたんだ。
Aさんまでとられたら…。
…土方はAさんのことどう思ってんだ。
でもさすがに聞けねえ。
てか今まで俺の話どう思って聞いてたんだ。
自分は常連のくせに、団子屋の娘が姉上に似てるんだと話す俺のことをどう見てた?
___俺だけが何も知らなかった?
あり、なんかムカムカしてきた。
土方やってくるか。
よし、刀を構えて…と。
「ひーじかーたさーん。はいドーン。」
「あ? なんドヮァアアアア!!!」
「チッしくじったか。」
「テメ、何すんだ突然! あぶねーだろ!」
「なんかむしゃくしゃしたんで。」
「テメーのストレス発散のために俺の命を弄ぶな!」
ッチ、やり損ねた。
「あーもう後片付け誰がやると思ってんだ。ったく…最近は少なくなったと思ったのに…。」
「もちろん俺は部屋に戻って寝まさァ。」
「うるせーよ。わかってんだよンなことは。」
苛立つ土方に内心ほくそ笑みながら、踵を返す。
やれはしなかったが、気分は悪くねェ。
「おい総悟。」
呼び止められると思わなかったから少し驚いた。
小言だったら無視して行こうと思い、無言で立ち止まる。
もちろん振り返ってすらいない。
「あの女に入れ込みすぎるなよ。アイツはミツバじゃねえ。それに、お前は___。」
「うるせえ。テメーには言われたくねェ。…テメーにだけは。」
逃げた。
言い逃げをした。
自分でもわかった。
アイツに姉上の名前を出されたのもムカついたし、何より___図星だった。
俺は血に塗れた人間で、人を斬るのが仕事で。
いつ死んでもおかしくねェ身分。
その証拠に俺の目は黒く濁った赤色だ。
姉上とは違う、人殺しの目。
よく敵にも指摘されるし、自分でもわかってた。
そんな俺が、どうして彼女を幸せにできるのか。
あんなにも綺麗な手をした、澄んだ目をした、彼女を。
姉上すら幸せにできなかった俺が。
それもこれもわかってるのに。
わざわざ指摘して忠告してきた土方もむかつくし、そんな土方に八つ当たりをした俺も…むかつく。
______お前は、真選組だろ。
ああ、そうだよ。
俺は___真選組だ。
…アンタもこんな気持ちだったのか?
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たいる(プロフ) - わかさん» こっちにもコメントくださってたんですね!笑ありがとうございます。笑っていただけて良かったです笑笑 (2021年7月11日 17時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
わか - ミョウバンは笑った!!笑笑 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たいる | 作成日時:2021年1月8日 0時