初彼（続編） 9 (ページ13)

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413「右往左往だった自分」ページ13

藤ヶ谷さんは、私に〝好きだ〟と言ってくれた。

〝これからは俺のことも見て欲しい〟って言ってくれた。

だけど、それにお返事をする事も無く、私は今まで、ただただ…逃げていた。

それは、藤ヶ谷さんのことが、
好きとか…
気になっていて…
迷っていて…
だからお返事をしなかった…、という訳じゃ無かった…。

正直、どうお返事をしたらいいのか分からず、今までずっと困惑していたのが本音…。

ごめんなさい…と告げる事で、藤ヶ谷さんの気持ちを傷つけてしまうんじゃないかって怖かった。

そんな藤ヶ谷さんを目の前にするのが怖かった自分がいた。

あそこまで一生懸命に気持ちを伝えてくれた藤ヶ谷さんに悪いな…とか、私みたいな分際が藤ヶ谷さんからの告白をお断りするとか…身分弁えろ！…みたいな。

…そんな思いにもかられていた。

そして、何よりも…

信じたく無かった。

藤ヶ谷さんは、玉森さんと私が付き合ってることを知ってて…なぜ私…

なぜ告白なの…って。

藤ヶ谷さんは、周りにすごく気を遣う人だから、こうする事で玉森さんとは同じメンバー間としても仕事面でも先の事を考えるとリスクを取る事になるって分かっているはず。

藤ヶ谷さんは目先だけで物を言う人じゃ無い。

なのに…

なぜ…

こうしてリスクを取ったの…？

そう思えば思うほど、私は試されているだけなんじゃないか？

何かの間違いなのかな？
って…信じられないような、、、

いや、告白してくださったのだし、その気持ちを信じなきゃ藤ヶ谷さんに失礼になるような…

私は、信じがたい現実との狭間で右往左往してしまっていた。

………………………………

だけど、結果として、私のしている行為は、藤ヶ谷さんにお返事をせずに気を持たせ続けている事と一緒の行為だって…。

YESともNOとも言わず、曖昧にして、逆に傷つけているだけだって…。

お返事をしない事はとても失礼な事だって…。

そして、藤ヶ谷さんの優しさに甘えるという最低な行為を私はし続けているんだって…。

…気付いた…。

…今さらながら、、、。