君と死神 ページ21
口を抑えるも遅かった。靄を吸い込んだ途端、ドクンと心臓に痛みが走る。
他にも吸い込んだであろう人々は次々と地面に倒れて行った。
「な、なんだこれは…」
まるで悪夢のような光景。見て分かることは、Aが今正常の状態ではないということだけだ。
胸を押さえながら顔を上げる──────するとAの身体が1歩前へと出た。
「あー…、あぁ、やっと喋れる。聞いているかい？ヒーロー、警察、そして…サンイーター」
ぞわりと背中に悪寒が走った。Aの口から出た言葉はAのものではない。低く、気味の悪い男の声だった。
「何者だ！彼女に何をした！！」
怒りで前に出ようとする俺を、誰かが掴んだ。ハッと振り向けばミリオがいた。
「ミリオ…」
「落ち着け、環…。今は悔しいけど様子を見よう」
ミリオも靄を吸ってしまったようで、青い顔をして苦しそうにしている。
「くっくく…、俺はしがない小説家だよ、小説家。
今回はサンイーターにぴったりな"シナリオ"を用意したんだ」
彼女の表情は変わらないのに、話す声は酷く抑揚があって気持ちが悪い。まるで蛇が言葉を喋っているような、そんな声音の不快感。
「サンイーター。君はすごく幸せだったよねぇ。愛しい妻に2人の子供。俺は羨ましかったよ
だから…その幸せを"壊したい"と思ったんだ」
そう言うとA…もとい身体を乗っ取った敵は人差し指を立てた。
「1段階目、愛しい妻が記憶喪失になる、また、君に恐怖を抱くようになる。
2段階目、恐怖は解けて愛情が芽生える…、つかの間の幸せだね。
3段階目、彼女の身体に異変が生じ始める。
4段階目──────彼女が"死神"となるのさ」
その瞬間──────理解した途端、俺は絶望のどん底に突き落とされた。
心中を読み取ったかのように、敵がAの顔でニヤリと笑う。
「愛おしい妻はそのたおやかな身体を乗っ取られ、吐き出す二酸化炭素は毒と化す！
つまり、つまりだよ。彼女が息をする"度に"君たちの身体を彼女の毒が蝕んでいくんだよ！
つまり──────彼女は生きる厄災。死神だ」
「しに、がみ…」
ビルの上に佇むAを見つめる。身体中黒い紋様が浮かび上がり、全身に黒い靄を纏うAの姿は言葉通り死神と化していた。
「その毒を止める方法は──────」
やめろ、辞めてくれ。
「君の妻を"殺す"事だよ」
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alto(プロフ) - 素晴らしい作品でした！上手く表現出来ないのですが、とっても感動しました…！心が暖かくなりました。出てくるキャラがみんないい人過ぎて…すみません、言葉が纏まらないほど興奮してます！これからも応援してます！ (2020年9月12日 22時) (
レス) id: 22bf36de90 (このIDを非表示/違反報告)
星空_kanata_(プロフ) - 初コメです！この小説大好きで既に3回程読み直してます。天喰くんが推しなのですが初見の時は大号泣でした！他の小説も同じ作者さんとは気づいてなかったのですが、読みました！とても面白かったです！時間があれば、また天喰くんの話書いてくれたらな、と思います！ (2020年8月30日 1時) (レス) id: c2e895435f (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃奈瑠璃 - これほどまで感動した小説ありません！いい小説です！もう言葉に言い表せないくらい！ (2020年7月25日 14時) (レス) id: ce4d25fc12 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - シュラスさん» コメント遅くなって大変申し訳ございません！気づきませんでした…！ミリオも大活躍でしたよね…！段々と天喰くんのお陰で強くなれた彼女ちゃんです…！感動して頂けて嬉しいです！ (2020年4月2日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 藍煙(元もも)さん» コメント大変遅くなってごめんなさい…！気づきませんでした…。ありがとうございます！最後まで読んでくださってもう感激です…！本当ですか！？なんだかとっても嬉しいです！執筆頑張ってください！ (2020年4月2日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年5月7日 17時
