君と紋様 ページ19
「はっ、っは、ぁ…！」
目を覚ました。
なんて悪夢を見ていたのだろう、と私は額を押さえる。
──────ふと、その右手首が"黒い"ことに気づいた。
「…な、なにこれ…」
慌てて寝室の電気を付けると、右手首から二の腕に掛けて黒い紋様のようなものが浮かび上がっている。
「…！！」
こんなの、覚えがない。なにも。最近特に
「そうだ、さっき何か夢を見ていて…」
恐ろしい夢だったのだ。身体中汗で湿っているのだから。
「あ、れ…？夢、どんな内容だっけ…？」
頭を押さえる。先程まで見ていた夢だったのに、全く思い出せない。
「怖い、怖い…、怖いよ…」
不安でついに涙がポロポロこぼれ出した。そうだ、環さんに言おう、と身体を動かす。部屋を出る直前、時計の針が4時を指しているのを見て私は足を止めた。
「…こんな夜遅くに、申し訳ない、か…」
本当は今すぐにでも環さんの元へ行って、この不安を晴らして欲しい。
でも理性がそれを止めた。いつもいつも迷惑ばかり掛けてしまっている。
寝ようと決意して、私は渋々足を寝台へと進めた。右手首の気味の悪い紋様を隠すように布団に潜り込んで、電気を消した。
最近、Aの様子がおかしい。物忘れや頭痛ではなく、本人自身の様子がおかしいのだ。
暑い時期であるのに、ここ最近毎日長袖長ズボンを着ているのだ。そして何かを恐れるように視線を右往左往させている。笑顔も作り笑顔のようにぎこちがない。
気になっていた俺は、Aが二人の子供たちを送り出した後に聞いてみることにした。
「A」
玄関から戻ってくるAに声を掛けると、それだけでAはビクリと肩を揺らした。
「最近様子がおかしいけど、どうかした？」
追求するとAは小さくふるふると首を振った。そんな態度に痺れを切らして俺は腕を掴む。
「それに、熱いのにいつも長袖で──────」
「っ…！」
瞬間、Aは俺の手を振り払った。突然の事に目を大きく見開く。
しかしなによりショックを受けているのはAだったようで、自分の手を握りしめながら泣きそうに俺を見つめていた。
「あ…、ご、ごめんなさい…！」
そのままAは小走りで自分の部屋へと入っていった。
「A…！」
拒絶するAを押し切ってまで問い詰める勇気が、このとき俺にはなかったんだ。
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alto(プロフ) - 素晴らしい作品でした！上手く表現出来ないのですが、とっても感動しました…！心が暖かくなりました。出てくるキャラがみんないい人過ぎて…すみません、言葉が纏まらないほど興奮してます！これからも応援してます！ (2020年9月12日 22時) (
レス) id: 22bf36de90 (このIDを非表示/違反報告)
星空_kanata_(プロフ) - 初コメです！この小説大好きで既に3回程読み直してます。天喰くんが推しなのですが初見の時は大号泣でした！他の小説も同じ作者さんとは気づいてなかったのですが、読みました！とても面白かったです！時間があれば、また天喰くんの話書いてくれたらな、と思います！ (2020年8月30日 1時) (レス) id: c2e895435f (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃奈瑠璃 - これほどまで感動した小説ありません！いい小説です！もう言葉に言い表せないくらい！ (2020年7月25日 14時) (レス) id: ce4d25fc12 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - シュラスさん» コメント遅くなって大変申し訳ございません！気づきませんでした…！ミリオも大活躍でしたよね…！段々と天喰くんのお陰で強くなれた彼女ちゃんです…！感動して頂けて嬉しいです！ (2020年4月2日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 藍煙(元もも)さん» コメント大変遅くなってごめんなさい…！気づきませんでした…。ありがとうございます！最後まで読んでくださってもう感激です…！本当ですか！？なんだかとっても嬉しいです！執筆頑張ってください！ (2020年4月2日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年5月7日 17時
