君と朝 ページ17
＊事後表現ありです、ご注意を！
そんな頬を伝う涙をAは震える手でそっと拭った。
ぱちりと目と目が合い、きゅっと心臓が締め付けられるような切なさと幸福感が襲う。
──────もし、許されるならば。
無言でじっと見つめて、その手に手を重ねる。ビクリと肩を揺らすAに、ゆっくり、ゆっくりと顔を近づける。
逃げる隙は幾らでもある。無理にする気はなかった。
──────なのに。
「…んっ」
久しく触れるAの唇は相変わらず暖かくて柔い。
目を見開いて唇を離すと、まるで初めてのキスのようにAは頬を赤らめて俺を見つめていた。
多少の恐怖からか潤んでいる桜色の瞳が尚扇情的で──────。
俺はもう一度唇を重ねた。
何度も何度も唇を重ね、どれほど経ったかわからない。
でもその頃には俺はもう熱を持った身体とほとばしる愛情を抑えられずにはいられなくなっていた。
「…俺はその気なんだけど…いいの？」
久しかったためか、息が荒ぐ。そっと耳元に近づけて問いかけると、Aは「いいの、今がいい」と物欲しそうに見詰める。
そんな表情に俺はすっかり葛藤も何もかも奪われ──────抵抗する気のないAを横抱きにして寝室へと向かった。
その夜、俺とAはまるで初めての様に夜を過ごした。
「…ん、ぅう」
頭を撫でていると、Aが呟きを漏らしてゆっくりと瞼を震わせた。
そっと開けた桜色の瞳を見つめ「おはよう」と微笑むとAは「…！？」と顔を朱色に染めて後ずさる。
「…っ、あんまり端によると寝台から落ちちゃうよ」
もう少しで寝台から落ちる、という所でぐっとAを抱き寄せると、彼女は「…ぁ、りがと…」と掠れた声を出す。
あまりに枯れた声にぎょっとし「ご、ごめん…！無理をさせた。水取ってくるよ」
床に散らばった服を拾って寝台を抜けようとすると、ぎゅ、と柔い肌に包まれる。
「…いい、水なんか、いい、から…」
まだそばにいて、子供みたいに背中に寄り添うAに、俺は自分に馬鹿みたいに呆れながら寝台に戻ってAを正面から抱きしめた。
──────このとき、やっと元に…否、新しく生まれた幸せは一瞬に過ぎず
すぐに、徐々に壊れかけていくのを
俺とAは、まだ知る由もない。
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alto(プロフ) - 素晴らしい作品でした！上手く表現出来ないのですが、とっても感動しました…！心が暖かくなりました。出てくるキャラがみんないい人過ぎて…すみません、言葉が纏まらないほど興奮してます！これからも応援してます！ (2020年9月12日 22時) (
レス) id: 22bf36de90 (このIDを非表示/違反報告)
星空_kanata_(プロフ) - 初コメです！この小説大好きで既に3回程読み直してます。天喰くんが推しなのですが初見の時は大号泣でした！他の小説も同じ作者さんとは気づいてなかったのですが、読みました！とても面白かったです！時間があれば、また天喰くんの話書いてくれたらな、と思います！ (2020年8月30日 1時) (レス) id: c2e895435f (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃奈瑠璃 - これほどまで感動した小説ありません！いい小説です！もう言葉に言い表せないくらい！ (2020年7月25日 14時) (レス) id: ce4d25fc12 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - シュラスさん» コメント遅くなって大変申し訳ございません！気づきませんでした…！ミリオも大活躍でしたよね…！段々と天喰くんのお陰で強くなれた彼女ちゃんです…！感動して頂けて嬉しいです！ (2020年4月2日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 藍煙(元もも)さん» コメント大変遅くなってごめんなさい…！気づきませんでした…。ありがとうございます！最後まで読んでくださってもう感激です…！本当ですか！？なんだかとっても嬉しいです！執筆頑張ってください！ (2020年4月2日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年5月7日 17時
