君とチャンス ページ14
じっ、と4つの瞳が私を見つめる。
「どうしたの?」
「…ままとぱぱが普通にしてる…」
「してる…!」
カタ、と環さんの目の前に置いたご飯茶碗から思わず手をサッと離す。すると味噌汁を飲んでいた環さんもビクリと肩を揺らした。
「まま記憶戻ったの!?」
「戻った!?」
「ごめんね、戻ってないんだけど…」
チラリ、環さんを見る。昨夜、背中に寄り添ったのを思い出して私は目を逸らしてしまった。
環さんも所以は同じなのだろう、頬をほんのり赤くすると子供たちに困ったような微笑みを浮かべた。
「ままと少しだけ仲良くなったんだ」
すると子供たちは食べる手を止めてふるふる震え出すとバッと椅子から立ち上がって勢いよく抱き着いてきた。
「わっ!?」
「ぱぱと仲良し!」
「やったぁ!!」
グリグリとサラサラの髪の毛を押し付けてくる二人が可愛くて堪らない。
「…うん、もっとぱぱと仲良しになるからね」
そう言って頭を撫でると、子供たちは目を輝かせ、環さんはポンっと顔を赤くした。
「えっ、良かったやん!!」
態々大阪から来てくれた友人の事の経緯を話すと大きな目を見開いて喜んでくれた。
「うわぁ、もうごっつ嬉しいわぁ…。この調子で記憶も戻るとえぇなぁ!」
はよウチの彼氏と4人でダブルデートしたいねん、と胸を張る友人に笑いが零れる。
「んー…、あ、せやせや。せっかくえぇ感じやし、二人きりで夜とか過ごしたらどうや?」
さっきの無邪気な笑顔とは打って変わって一変。まるで下心見え見えの男子高校生のような笑顔をにしし、と浮かべながら友人はそんなことを言ってきた。
「え?でも颯と恵いるし…」
「ウチが預かったる!せやからせやから!」
距離ぐっと縮まるチャンスやで!と身を乗り出して言う友人に、私は押されて頷いてしまったのだった──────。
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alto(プロフ) - 素晴らしい作品でした!上手く表現出来ないのですが、とっても感動しました…!心が暖かくなりました。出てくるキャラがみんないい人過ぎて…すみません、言葉が纏まらないほど興奮してます!これからも応援してます! (2020年9月12日 22時) (レス) id: 22bf36de90 (このIDを非表示/違反報告)
星空_kanata_(プロフ) - 初コメです!この小説大好きで既に3回程読み直してます。天喰くんが推しなのですが初見の時は大号泣でした!他の小説も同じ作者さんとは気づいてなかったのですが、読みました!とても面白かったです!時間があれば、また天喰くんの話書いてくれたらな、と思います! (2020年8月30日 1時) (レス) id: c2e895435f (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃奈瑠璃 - これほどまで感動した小説ありません!いい小説です!もう言葉に言い表せないくらい! (2020年7月25日 14時) (レス) id: ce4d25fc12 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - シュラスさん» コメント遅くなって大変申し訳ございません!気づきませんでした…!ミリオも大活躍でしたよね…!段々と天喰くんのお陰で強くなれた彼女ちゃんです…!感動して頂けて嬉しいです! (2020年4月2日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 藍煙(元もも)さん» コメント大変遅くなってごめんなさい…!気づきませんでした…。ありがとうございます!最後まで読んでくださってもう感激です…!本当ですか!?なんだかとっても嬉しいです!執筆頑張ってください! (2020年4月2日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あろま | 作成日時:2019年5月7日 17時