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いっそのこと。善逸が未練なく首を跳ねれば、善逸は切腹を免れることが出来るのでは、とAは考えたのだ。
恐怖の色を浮かべて涙を流しながらも、その瞳の奥に自分への思い遣りを見つけて善逸は歯を食いしばる。
「早く…、早く跳ねて。そうじゃないと私、善逸のこと傷つけちゃう」
跳ねて、と懇願する彼女の震えた声が、善逸の耳に嫌なほど響く。それは確かに人間の頃から変わらない、高めの心地よい声のはずなのに、震えて歪んで不協和音だ。
はぁ、はぁ、と彼女の息が荒くなる。また、善逸も呼吸が乱れていた。
立ち上がろうとも、刀を構えようともしない善逸に、Aは呻き声を上げる。
「あぁっ、あぁ！！」
獣のような叫びを上げ、涙ながらにAは善逸の肩に噛み付いた。
鋭い牙が皮膚を破って血が流れ出す。
しかし、血肉の味を目の前にしても、Aはそれ以上牙を進めることは無かった。そればかりか噛む力をどんどん緩めて涙を零す。
そんなAの頭を、善逸は優しく腕に包み込んだ。
「A。Aからはな、何時だって優しい音と、深い悲しみの音がするんだ。
今だって、俺に跳ねる口実を作るために、俺に噛み付いてる」
最早理性を忘れて喰らおうとしてきたために、仕方なく首を跳ねた──────。そんな話が作れたはずだ。
「でも俺。初めてだったんだよ。Aはどうしようもない俺の事好きになってくれて。間違えた道に進もうとするときは何時だって叱りつけて戻してくれた。
俺の事、心から信じて寄り添ってくれた。だからさ、どんなことがあっても俺は。
──────大切な人を殺すなんて出来ないんだ」
あぁ。神様。
鬼になった私でも、まだ
この人を愛することを、許してくださいますか?
「善逸、善逸…っ」
いつしかのように名前を呼んで泣くAを、善逸は思い切り抱きしめる。
いつ追ってが来るかわからない中で、二人はお互いの着物に顔を押し付けて泣きあった。
「もうさ、お天道様に顔向けできないけど。
でも、それでも一緒にいたい」
「私もっ、私も、善逸と、一緒に…」
濡れた頬を拭いながら善逸が優しく笑う。それから見つめあって、Aの額に口付けを落とした。
「逃げようか、A」
何処までも一緒に来てくれる？そう言って伸ばした手に、Aはゆっくりと手を重ねて握り締めた。
浜木綿：どこか遠くへ、清純
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あろま(プロフ) - 謎の桃さん» コメントありがとうございます！好きと言って頂けて嬉しいです！続編の方も是非ごらんください！ (2020年1月5日 17時) (
レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
謎の桃 - ぐっ…好きです…（死 (2020年1月3日 11時) (レス) id: 54222cb971 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - あろまさん» 分かりました。大丈夫です。 (2019年11月1日 9時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 零奈さん» リクエストありがとうございます！実弥ですね！実弥らしいお話ですね…！精一杯書きます！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 美桜さん» リクエストありがとうございます！煉獄さんのリクエスト嬉しいです！ですがすみません、夢主が柱という設定を普通の一般隊士にしたいです。ご了承ください…！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年9月25日 17時
