ウツボカズラ：相澤消太 ページ21
「今日は何にします？」
きゅ、きゅ、とグラスを拭く音が心地いい。
「言わせるな、いつものだ」
「はいはい、お気に召すまま、しょーたさん」
赤いルージュが弧を描く。いつも此奴の掌の上で転がされるような感覚も、もう慣れてしまった。
「ロブ・ロイになります」
今日も今日とて出された琥珀色の液体。この1杯に1000円札を幾分か飛ばす俺は相変わらず、この酒にも、此奴にも酔いしれている。
「…なんだかいつもより量が多いな」
「うふふ、しょーちゃんいつも来てくれるからサービス」
「誰がしょーちゃんだ巫山戯るな」
ぐ、とグラスを口に付けてほんの少し舌の上で転がす。
飲みなれた味。飲んだ途端に頭の奥が痺れる感覚。
すっかり酒の味に浸っていると、かた、とカウンターを出てAが店の看板を仕舞う。
「なんだ、もう終わりなのか」
「だって消太さんと二人きりだもの。いいわ」
もう夜も遅いし、と楽しげに笑うと看板を置いて俺の隣に座った。
いつのまに作ったのか、イエロー・パロットのグラスを持って差し出す。
「乾杯しましょ、イレイザー」
「…そういうのは男にやれ」
そう言いながらも俺はカラン、とグラスを合わせた。
此奴はBARで一人働くバーテンダー。
此奴は下の名前しか知らない。此奴も、俺のことは少しも知らない。知っていることといえば、イレイザーヘッドというヒーローであり、消太という名前であることくらい。
そんな切れかかった糸切れみたいな関係。俺が飲みに来ては好き勝手喋ってクスクスと笑う、おかしな奴。
ころん、と肩に重みが掛かる。見なくてもわかる。ふわり、鼻腔につく此奴の香水の匂い。
「なんだ」
「もう酔いが回ってきたみたい」
更にかく、と寄りかかるので身体を支えた。細い腰に手を回し、ぐっと身体を支えると一気に距離が縮まる。
「あらやだ、大胆」
クスクスと笑う此奴は確かに頬がほんのり朱色に染まっていた。長い睫毛を数回瞬かせた後、水色の瞳は楽しげに俺を見上げる。
「お前は相変わらず掴みどころのない奴だな」
「そんなのしょーたさんだって一緒じゃない…」
赤い唇がゆっくりと動くと、白い手が肩を掴んだ。段々身体がこちらへ寄せられ、柔らかな身体が押し付けられる。
「おい」
ぐ、と押しのけようとするとその手に手を添えて綺麗にAは微笑む。
「消太さん、好きよ」
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あろま(プロフ) - オーバーさん» こちらこそリクエストありがとうございました！お気に召して頂けて光栄です！期待させてしまってすみませんでした…。楽しみにしてらっしゃいましたよね…。なんて優しいんですか…！感謝感激です！頑張ります！ (2019年9月25日 23時) (
レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - リクありがとうございます！とても良かったです(´ω`*) ホークスの新作の件は残念でしたが、あろまさんの書く小説が大好きなので、大丈夫です(`ω´)b 執筆お疲れ様でした！！ (2019年9月25日 21時) (レス) id: 50e4bb27d4 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - オーバーさん» お久しぶりです、オーバーさん！弔くんのお話好きですか…！？嬉しい限りです！鬼滅の方も読んでくださって感激です…！これからも頑張ります！ (2019年9月21日 23時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - お久しぶりです、あろまさん！ 死柄木くんのお話好きです(´艸`) 鬼滅も楽しく読んでます(´ω`*) 更新ファイトです！！ (2019年9月21日 21時) (レス) id: 50e4bb27d4 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - オーバーさん» リクエストありがとうございます！そうなんです！ついにホークスの新作を書きます！ずっと書きたかったお話なので自分でも楽しみです(笑)アネモネいつか書こうと思っていたので嬉しいです！了解です、荼毘ですね！いつもコメント感謝です！全力で書きます！ (2019年8月26日 11時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年7月1日 22時
