カスミソウ：荼毘 ページ16
「ねぇ教えてよ」
貴方の目は何色なの?
小さなAの手が俺の頬をぺたぺたと触る。無遠慮な手はそのまま継ぎ接ぎ面に触れた。
「だびくんの顔は不思議だねぇ」
でこぼこしてたり、金属みたいなのも付いてるし。
俺の顔を触ろうとする奴なんてまずいない。なのに、なのに此奴は無遠慮に、ぺたぺたと顔に触れて首を傾げるんだ。
「…そうかよ」
俺がそう返事をするだけで、Aは嬉しそうに二っと笑う。お前こそ目の色、何色なんだよ。お前の目は嘸かし綺麗な色なんだろ？
此奴──────水瀬Aは目が見えない。
初めで出会ったのはいつだったか。
病院から抜け出したAが俺にぶつかってきたのを、昨日の事のように覚えてる。
気まぐれで追ってくる看護師から少しの間匿ってやると「貴方優しいね」なんて笑った。
「…優しい？俺が？」
お前頭可笑しいのか、と。そんな台詞が零れてしまった。
人殺しの俺を優しい？口が裂けても言えねぇだろ。
そんな俺に対して「あ、やっぱり優しくない」なんてムッとする少女は頬を河豚のように膨らませていたけれど。
「…ありがとう、私ずっと病院生活だったから。お外に出たかったの」
ポツリ、呟かれた言葉はどの言葉よりも静かで。呟いた表情は俯いていて見ることは叶わなかったが、酷く寂しげな表情をしている様だった。
「…また病室から抜け出せたら話し相手にでもなってやろうか？」
──────気づいたときにはらしくない台詞が口から飛び出ていた。
自分でも思わぬ台詞に驚く俺に構わず、目の前の少女はパァあっと顔を輝かせる。
「本当…？本当に…！？嬉しい、ありがとう！」
"話し相手になる"たかがそれだけの事なのに、此奴は魔法使いに会った子供の様に明るい声を上げた。
閉ざされた瞼の内側の瞳は、確かに俺を見つめてきらきら宝石のように輝いていた。
「あぁ、俺は"いい人"だからな」
──────多分、俺の中に最期の一欠片あった良心が目を出しただけだ。
俺はそう自分に言い聞かせて、まだ子供みたいに笑うその顔を眺めていた。
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あろま(プロフ) - オーバーさん» こちらこそリクエストありがとうございました！お気に召して頂けて光栄です！期待させてしまってすみませんでした…。楽しみにしてらっしゃいましたよね…。なんて優しいんですか…！感謝感激です！頑張ります！ (2019年9月25日 23時) (
レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - リクありがとうございます！とても良かったです(´ω`*) ホークスの新作の件は残念でしたが、あろまさんの書く小説が大好きなので、大丈夫です(`ω´)b 執筆お疲れ様でした！！ (2019年9月25日 21時) (レス) id: 50e4bb27d4 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - オーバーさん» お久しぶりです、オーバーさん！弔くんのお話好きですか…！？嬉しい限りです！鬼滅の方も読んでくださって感激です…！これからも頑張ります！ (2019年9月21日 23時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - お久しぶりです、あろまさん！ 死柄木くんのお話好きです(´艸`) 鬼滅も楽しく読んでます(´ω`*) 更新ファイトです！！ (2019年9月21日 21時) (レス) id: 50e4bb27d4 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - オーバーさん» リクエストありがとうございます！そうなんです！ついにホークスの新作を書きます！ずっと書きたかったお話なので自分でも楽しみです(笑)アネモネいつか書こうと思っていたので嬉しいです！了解です、荼毘ですね！いつもコメント感謝です！全力で書きます！ (2019年8月26日 11時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年7月1日 22時
