環と好きすぎた想い ページ18
アルコールの匂い漂う沈黙の空間で、天喰は今までを振り返った
(いつもAは…、寂しかったんだ)
同居し始めたのに、全然二人で過ごせなくて
デートも…俺がヒーロー活動を優先して
この間のデートのときも、途中で敵に遭遇して、中止になって
謝るとAは笑って「大丈夫だよ、お疲れ様」なんて汚れた頬を拭ってくれた
────でも、その瞳の奥には、きっとどうしようもない想いがあったんだ
Aは優しいから、それを必死に押し隠していたんだ
思えば、休日
いつもAは何か言いたげな…求めるような視線を向けていた
俺が疲れているのを知っていたから、甘えたくても甘えられなかったんだ
それに…あの温泉旅行以来、俺は全くAに余裕が無くなって
そのせいか、Aにあまり触れなくなった
「────全部が、Aを不安にさせてたんだ」
後悔に、無意味なのに────俺は壁に拳をぶつけていた
「…っ、馬鹿野郎…」
鈍い音がして、拳がじりじり痛む
Aの心は────もっと、痛いはずだ
「一番守りたい人、守れてないじゃないか……!!」
一番大切な人なのに
一番泣かせたくない人なのに
(傷つけた、泣かせた)
Aの想いも汲み取れないで、Aの言葉や笑顔に甘えて、ヒーロー活動を優先して
自分の勝手な感情で、Aに触れないようにして
「ごめん、ごめん、A…」
Aのヒーローに、なれてなかった
その日の晩、私は友人の家に泊まった
行成にも関わらず、友人は迎え入れてくれて
戸惑う友人の腕の中で、私は後悔に咽び泣いた
────一番嫌いなのは、彼を心から応援出来ない自分だった
利己的な自分への怒りを、環にぶつけて、あんなこと言って
「……最低だ」
布団の中でそう呟いたとき、部屋に友人が入ってきて
「…ほれ」
差し出されたものを受け取ると────家に置いてきた私の鍵
「…なんで」
「あー、うんとな
ウチが天喰さんに連絡したん…その、心配してるやろうしな
そしたら鍵だけ渡しに来た
『心が落ち着いたら帰ってきて』やて
……ほんまに、天喰さん理解力あって優しいやんか」
優しい言付けに、また涙が零れてくる
顔を突っ伏すと、友人が私の頭を撫でながら
ボソリと、呟いた
「…お互い、好きすぎたんやろうな」
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こおら(プロフ) - 男ですが1日で全部読んじゃいました…笑 今更コメント残しても遅いかもしれないんですけどどうしても残したくて書いちゃいました。 男なのに珍しいかもですけどすごくドキドキしました…笑 (2021年8月29日 9時) (
レス) id: c29f706d65 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 棒つき飴さん» コメントありがとうございます！神だなんて恐れ多すぎます…！環くんへの愛で執筆しました（笑）読んで下さって嬉しいです！ (2020年1月25日 9時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
棒つき飴 - あなたが神か (2020年1月21日 21時) (レス) id: 75dcb5e175 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 天喰君推し少女なぎさん» コメント気づかなくてごめんなさい！コメントありがとうございます！ファットガムには申し訳ないです…。ファットガムって好きな人が誰かと被ってしまったら引く男だと思うんです…。 (2019年8月14日 11時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
天喰君推し少女なぎ - ファットガム…なんか…悲しいな… (2019年6月9日 0時) (レス) id: c855ae6157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年2月22日 20時
