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11話 ページ13

「……じゃあ、準備はいいな?」


空もすっかり闇に染まり、時計の針は1時を指している。

計画が崩れるのは何としても阻止したく、慎重に事を進める。

朔夜の呼び掛けに全員が頷くと、騒いで施設の人間を誘き寄せてくれている友達に心の底から「ごめん」と
謝りながら忍び足で裏口まで行く。


「…………っ」


三階に着いた途端、なんとも言い難い腐敗臭がした。

声は出さなかったが、これはかなりまずい。呼吸するのを躊躇ってしまう。


「(……臓器とかも、売ってたのか)」


周囲に気を張って歩きながら、そう思った。




一先ず裏口から脱出は成功したが、正直達成感が無い。

三階で匂った腐敗臭……。

あの中に、今までの友達が沢山……臓器密売されて……。


「……朔夜。取り敢えず脱出は出来たんだ。“その事”は考えるな」


龍暉が肩を叩いてそう話し掛けるが、それは自分にも言い聞かせているような声色だ。


「早く行こうよ。追手が来るかもしれない」


遥が荷物を抱えながら言った。龍暉や雄太も静かに頷くが、朔夜だけはどこか腑に落ちなかった。


凄惨な現実を突き付けられても尚、眈々としている。

こんな思いをしているのは、俺だけなのか――――?


あまりに冷静な仲間を前に、戸惑った。

俯きながら歩みを進める朔夜を見つめる侑璃は、少し心配そうな表情をしていた。



「……夜更けの森って真っ暗だな」


懐中電灯と地図を片手に龍暉が呟く。

一応スマホは全員持っているが、圏外で使えず手元の地図を照らして頼りに歩いている。


「……気張り過ぎて疲れたか。どっか洞穴でも……あった」


どこか疲れた雰囲気を纏っているのを悟り、龍暉はかなりの人数が入るであろう洞穴を見つけ、そこで休もうと言う。


「取り敢えず体力を温存して、夜が明けたらまた動こう。皆疲労が溜まってるだろ?」


どうやら洞穴はかなり広いらしく、全員が寝そべられるくらい。

朔夜は正直頭を冷やしたかったので、一秒でも早く休みたかったのが本心だ。


「……。」


虚ろな目で座り込む朔夜を見た仲間もまた、そんなに精神が強い訳では無く、荷物を枕がわりに仮眠を取ったりもした。

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スレイル(プロフ) - 愛花さん» コメントありがとうございます! 頑張ります! (2018年3月21日 10時) (レス) id: 6a6729e69a (このIDを非表示/違反報告)
愛花 - 面白いです!更新頑張ってください! (2018年3月20日 4時) (レス) id: 290386675f (このIDを非表示/違反報告)
スレイル(プロフ) - 白ふくろうさん» コメントありがとうございます!少しずつにはなりますが頑張ります! (2017年7月31日 13時) (レス) id: 6a6729e69a (このIDを非表示/違反報告)
白ふくろう - 続きが気になります!更新、頑張ってください (2017年7月29日 13時) (レス) id: 3b64ecbc9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スレイル | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年7月7日 15時

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