勿忘草【完】 (ページ13)

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次の日

俺はまたあの花屋を訪ねた。

「これはこれは、昨日の…」

「昨日はありがとうございました」

昨日と同じ店員さんが気付いてくれて
お礼が言えて良かった

この人のあの一言のお陰で
Aにもう一度会えたような気がするから

「今日はどうされたんですか？」

「実は今日も花束をお願いしたくて」

「ありがとうございます。
またこちらで一度お作りいたしますか？」

「いえ、今日はもう決めてきたんです」

昨日Aに何か出来ないか
沢山考えて沢山調べたんだ

きっと彼女にはこれが良い

「今日はバラを36本、お願いします」

「バラを36本ですね、かしこまりました。
少々お待ちください」

店員さんも意味が分かったのか
優しく微笑んでくれた。

「お待たせいたしました、こちらになります」

「…はは、本当に綺麗ですね」

差し出されたバラは
手入れが行き届いているのか全部が本当に綺麗で

花に感動したのは初めてかもしれない。

「ありがとうございます…
今日はお代は結構ですので」

「え、でも」

「綺麗だと言って下さるそのお心だけで充分です。
だから早く彼女さんの所へ届けてあげてください」

穏やかに笑う店員さんに深く頭を下げて
必ずまた来ますと約束して

彼女の元へ向かった。