【d!】おいしくたべれる賞味期限。【zm】

▽ ページ21

＊


ni「隠し子じゃないことは気がついとったけどまさか襲った家族の子やったんか」

zm「...おん」


テトラポットの上を飛んではしゃぎ回る兄さんのストールをつけたAと

そんなAと笑いながら一緒にテトラポットの上を飛び跳ね回るシッマを見つめながら

コンクリの上に腰を下ろして兄さんと話す

兄さんとこうやってここで話すのいつぶりなんやろ

昔は結構こうやって話しとることあったんやけどな


ni「襲った家族の一人を生かしとるなんて他が知ったらびっくりするんじゃないか？」

zm「あー、みんな困惑はしとったわ」


みんなって言うか、会ってないマンちゃんと大先生とトントンとチーノ以外なんやけど。

そういえば、アイツら結構会ってへんな...

大先生は話を聞いた限り元気そうやしマンちゃんは今日会うつもりやけど、他は元気なんやろか

流石に死んではないやろな

...いや、まぁ、ギリギリで生きてそうな奴はおりそうやけど...


ni「まぁ、困惑するやろな...あ、煙草吸うてもええ？」

zm「聞きながら火ぃつけとるやん...」

ni「ふはっ...すまん、」


笑いながら火のついた煙草を咥える兄さんを見てふいっとそっぽを向く

煙草は嫌いなんや

昔を思い出す気がして

...まぁ、普通に臭いし咳き込むから嫌なんやけど。


『ぞむー！』


急に大きな声をかけられてふとそっちを向く

テトラポットの上で元気よく手を振るAを見つめる


zm「なんかおったん？」

『うん！おさかなさんいた！』

zm「どんなやった？」

『んとね...しまさん！あれなんておさかなさん？』

kn「おー？どれや...あー！あれな！あれは鯵や！鯵！」

『たべれる？』

kn「おん！食べれるで！」


シッマって魚詳しいんやな...

前はそんな詳しくなかったはずなんやけど...

魚は魚やろって言うとったしな


zm「なぁ、兄さん。シッマっていつあんな魚詳しくなったん？」

ni「んあ？...ああ、半年くらい前から勉強しだしたんやで」

zm「兄さんが教えとるん？」

ni「まっさか...俺はゾムに教えたっきり誰にも何にも教えてへんで」

zm「...ってことは、独学なん？」

ni「そうやない？」

zm「ふーん...」


あんまりなんとも思ってなさそうに煙草の灰を落とす兄さんを見る

...兄さんの弟子って俺が最初で最後やったんかな


zm「なぁ、なんで兄さんは弟子を取らへんの？」

ni「あー...決めてたんや、もう、ゾムの次は取らへんって」

▽→←▽

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す