2-5 注射針 ページ7
『兄者!!』
拭えきれなかった違和感。
それは
兄 「なんだ!お嬢」
『あいつ!赤い仮面のやつ…』
いつの間にか、視界から消えていた。
ずっと黒いのの中心にいたはずなのに。
『どこに、行ったの…?』
兄者が、血まみれの顔をこっちに向けた。
すると、私と目が合った途端、その顔を驚きと恐怖で歪ませた。
兄 「っ…!お嬢!!」
必死に手を伸ばしながら走ってくる。
私がおついちさんに攫われた時より、取り乱している。
ガバッ…と、私を抱きしめるように覆い被さってきた。
兄者の体温が直に伝わる。
(あったかい…)
『あ、あにじゃ…』
顔を上げると、兄者と目が合った。
安心しろ、と言うように私に微笑みかける。
ブツっ…
『え?』
兄 「あ……」
注射器
いきなり、私の後ろから注射器を持った黒い手が伸びてきた。
そして兄者の首に注射器を刺した。
目の前の事が理解出来ない。
『う、そ』
注射器の中の黒い液体が、兄者の体に入っていく。
兄 「うっ…」
1度、ヒクンッと体をこわばらせ、目を閉じて倒れ込んでしまった。
『あ、兄者!兄者っ!』
必死に揺さぶっても、起きない。
弟 「A!」
弟者が私を抱き上げた。
兄者が倒れている所…私が今までいた所の後ろに、赤い仮面の男が立っている。
いつの間に…。
「ふふ、兄者君は最初の実験体…君達の最初の犠牲者だね」
仮面の男がいやらしく笑う。
乙 「兄者君…!」
おついちさんが悔しそうに唸った。
廊下の奥から、わらわらと黒い奴らが向かってきている。
メ 「クソっ!まだまだ部下共はいたのか…」
弟 「兄者は置いて、先に上に行くぞ!」
乙 「弟者君!兄者君は俺に任せて、先に上に行ってて!」
ついでにコイツらも食い止める!と、おついちさんが叫んだ。
弟 「おついちさ…っ、そんな…」
乙 「いいから!…こんな三下共になんか、簡単にやられないっつーの!!」
弟者は、一瞬迷うような表情になったが、メロやんさんに私を預けると前に向かった。
弟 「行くぞ!」
メ 「分かってんよ!」
メロやんさんも、私を抱えて走る。
『待って…おついちさん!!』
必死になって顔を上げ、おついちさんの方を見る。
『っ…』
メロやんさんの揺れる背中で、私が最後に見たのは
首にブツリと注射器をさされ、床に崩れるおついちさんの姿だった。
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タコ草(プロフ) - やつはる。さん、ありがとうございます!勿体ないお言葉…!!励みになります( ^ω^) (2019年8月5日 20時) (レス) id: 6d6e493092 (このIDを非表示/違反報告)
やつはる。 - とても面白かったです!!!他の作品も楽しみにしてます。 (2019年8月5日 2時) (レス) id: f2d995bc4a (このIDを非表示/違反報告)
マーチ(プロフ) - タコ草(非常用別垢)さん» はい!がーんばりましょー!ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ (2019年8月1日 19時) (レス) id: e1f37b1211 (このIDを非表示/違反報告)
タコ草(非常用別垢) - おおー!更新再開…!!ちょっくら行ってきます!お互い頑張りましょうね(^ ^) (2019年8月1日 19時) (レス) id: 51d9c94860 (このIDを非表示/違反報告)
マーチ(プロフ) - タコ草(非常用別垢)さん» えへへ、なんかこういうお話ってすんごい好きです(〃'▽'〃) 実は昨日から?更新再開したんでよかったら…という宣伝ですwタコ草さんが作ってるほかの作品も見てるので楽しみにしてまーす!これからもファイト!です!(*´ω`*) (2019年8月1日 18時) (レス) id: e1f37b1211 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タコ草 | 作成日時:2019年3月18日 2時