あたしにケーキは必要ない. ② (ページ27)

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# お迎えですよ、お嬢さんページ27

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ト「っあー、買った買った」

『ほんまに…あんたら全員買いすぎやと思うねんけど、私に』

と「別にこんくらい大したことねぇげ、黙って貰っとけ」

『う…ありがとうございました…』

友「つーか俺らもオシャレなの貰っちゃったからね、おあいこだよ」

履いている新しい靴を見てふにゃふにゃの笑顔を浮かべたともやんを見て、少し前を歩く2人が釣られるように頬を緩める。なんか、平和すぎる光景だな、これ。

『そんなに高いものでもないけどね』

ト「値段とかじゃなくてその気持ちが嬉しいの。としみつくんなんか目ぇウルウルしてたじゃんね？」

と「ばっ、してねーよ！するか！バカ！」

『なんや、しやんかったんか…そっか…』

友「あーあ、Aめちゃくちゃショック受けてるじゃん。俺は泣きそうなくらい感動したのになー。」

と「……あーもう！したよ！感動した！嬉しかった！」

『はいありがとう知ってる～～(笑)』

ト「はい騙された～～(笑)」

と「はぁ！？うぜぇ(笑)」

友「優しいとしみつくん出ちゃったなぁ(笑)」

めっちゃ恥ずかしいやん！と顔を隠すとしみつが、信号待ちでしゃがみこむ。すると、それまでケラケラと笑っていたトミーが、あ、と小さく声をあげた。

ト「そういやこの辺だったわ」

『…え、何が？』

友「……あぁ！そっか！さっき連絡来てたわ！時間も丁度ぐらいだし」

と「あ～～…もうすぐ来るんじゃね？」

『いやいやいや、ほんまに何？全く話がわからん』

きょろきょろと周りを見渡してみるけど、夕暮れの少し人が少ないこの道に見えるのは2組のカップルと疎らにいる若者だけで、後は曲がり角の向こうで車が時折チラつくだけだ。知り合いの姿なんてどこにもないし、何を言ってるのかさっぱりわからない。

と「…迎えだよ、Aの」

『…え、私？タクシーなんか呼んでないけど、』

ト「ちげーよ、タクシーよりよっぽど豪華」

『何それ…、』

訳がわからず首を傾げていると、遠くから車がこちらに向かう音が聞こえてきた。振り返って目を凝らして見ると、___見慣れた人の見慣れた車が、こちらへ向かってきている。

『……うそお、』

ト「ほんとだよ。…ほら、」

ゆっくりと、車が止まる。

小さな音を立てて開いた扉から見えたのは、…1週間ぶりの、あの笑顔。

「迎えにきたよ、お嬢さん」

『……りょう』

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