有名役者は氷の呼吸を使うらしい。【鬼滅の刃】壱

7話 ヒイラギ ページ9

A(このっ.......急に！！！)


なんの予兆も、振りかぶった体制もなしに
そのまんまの笑った顔で


鬼舞辻無惨はキレイな回し蹴りを繰り出した。






ドスッ！！！









...........................................









が、
何も動じることは無い。

Aは、しっかりとした足構えと、
刀の峰で受身をとれていた。

もう、先程、気を抜かないと決意して
少しも気を抜いていなかったからできた。




これには鬼舞辻も驚いたらしい。




鬼舞辻｢.......その動きづらそうな身なりだ。

それを補える、
余程の腕の自信があるのだろうとは
思っていたが、これ程とは


だが、この戦い方はどこかで



....！｣








......鬼舞辻無惨が、何に驚いているのか。



それは、

刀の峰で受け止めたことではない。

受け止めたあと、
その勢いで、Aが弾き飛ばされなかったことに
今、鬼舞辻は驚いているのだ。


Aの

姿勢、構え方、切り方、飛び方、走り方

鬼舞辻無惨なら、幾度も相手をしたであろう

あの家系のもの。









鬼舞辻｢貴様、



ヒイラギの子か｣







.......そう。



Aは、柊家に生まれた役者、改め、鬼殺隊。



演技中に

誰かとぶつかってしまった時、
刀でとばされたりした時。


裏の仕事で
急に死角から狙われてしまった時






.......バランスは嫌でも崩れる。


その時に必要となるのが









体幹だ。




役者と戦闘の家系であるヒイラギは、

演技中ですら、

本気で刀を交え、本物のように魅せる。
そのため、
飛ばされないように必ず体幹を
整える訓練をしていて、体に染み込んでいる
その構えは


刀を抜けば直ぐに現れる。




軸が崩れない、美しい、舞うような切り込み方

力強くも、凛々しい構え



何度も戦った、あの動きを見せつけられた
鬼舞辻無惨は少しばかり不機嫌になったらしい。






鬼舞辻(.....少し厄介だ)



そんなことを思ったのである。



鬼舞辻無惨らしくもないが、
今までの経験上、
鬼殺隊は、年々弱くなっているのに対し、
ヒイラギは強さが増している。
昔よりも戦えるものが増えている。

10にも満たないうちに鬼の存在を知り、
幼い頃から自然と積み上げてきた
その武術、演技を、
鬼の存在を初めて知ったばかりにも関わらず、
そこはかとなく発揮してくる。








だが、そこは鬼舞辻無惨。

苦戦はするが、1度も負けたことは無い。









鬼舞辻｢......捕まえてやる｣

8話 青白→←6話 み空色と太陽

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す