ナミウテココロ《キンプリ短編集》 (ページ6)

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「おいっ！！」

目を振り返ったのは、紛れもない、告白相手。

『なによ、アンタ急に！』

「岸くん。…………ひどい振り方したんでしょ。」

『はぁ？嫌だったから、来んなって言っただけ。』

『だいたいアイツ、私が傘貸しただけで惚れるからよ。』

『チョロいのね｡』

淡々と紡がれる言葉に負けないように、

スカートを握って。

「はぁ？岸くんは、純粋なの。」

「少しのことで惚れちゃうくらい、優しくて、いい人なの。」

「知らないくせに、チョロいとか言わないで！」

言い返されたって負けない。

「岸くんは……岸くんは！本気でアンタのこと好きだったの！」

「家に帰って毎日クッキー焼く練習頑張るくらいに好きだったの！」

「なのに、何よ！クッキーぐちゃぐちゃにして。馬鹿なの？」

『あははッ……馬鹿はお宅の幼馴染みさんじゃない？』

「確かに……確かに岸くんは馬鹿だよ……でも、アンタと違うところがある。」

「それは、性格。岸くんは、皆よりめっちゃ腰低くて、」

「誰よりも優しくて、愛される馬鹿なの。」

「アンタは、性格が曲がってるね。直した方が良いんじゃない？」

思ったことが口から出ていくから、ちょっと怖いけど。

岸くんを悪く言うのは絶対に嫌だから。

「アンタと岸くんを一緒にしてほしくないね。」

「岸くんは多分アンタを許しちゃうと思うけど」

「私は、岸くんを悪く言うこと、絶対に許さないからね。」

『…………ふん！』

伝わったか分からないけど、私の失恋は、思ったよりもスッキリした。

これからも、岸くんは大切な幼馴染みです。

幼馴染みの恋《終》