ナミウテココロ《キンプリ短編集》 (ページ42)

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玄「……でも、紫耀ん家はやめとけ。

なんなら俺が家空けるけど。

神宮寺ん家行くから。じゃあね。」

紫耀の視線も痛かった。

ふたりの冷たくて痛いような視線から逃げるように、

俺は会社へと向かおうとした。

「ま、待って！…………私が悪かった…ちゃんと仕事も行くし、

げんくんとも仲直りしたいからっ、…………お願い、帰ってきて……。」

紫耀が口をぷくっとして目を真ん丸にしてるから、

ちょっと気遣おうと、

ニコニコしてみた。

玄「いいよ、夜、家で話そう。」

Aの顔は花が咲いたように明るくなり、

泣きながら「ありがと。」って。

神宮寺にも連絡して、紫耀にも謝って、……岸くんには何とも言わず(笑)

会社へ帰ると皆に心配され、

なんだか申し訳ない気持ち。

そんなことより、早く帰りたかった。

Aが家に帰ってる根拠なんてない。

言っただけで、違うところにいるかもしれないけど、

今の俺には、信じることしか出来なかった。

「ぉ、お帰りっ！…………げんくん、お疲れ様、

話の前にお風呂にする？……ご飯？」

玄「Aがいい。」

選択肢にも無いAを選ぶと、

「んふふ、なにそれ、良いけどっ……」

なんて、甘い日常が帰って来そうです。

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