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｢大丈夫ですか？｣
俺らは互いを見つめたまま、動け出せずにいたが、やっと動き出せたのは、落ちている漫画に気づいて拾ってくれた人がそう声をかけてくれた時だった。
｢あ、ありがとうございます｣
手渡された漫画を受け取り、再び両手で落ちないように漫画を抱えてお礼言った彼は、その後ゆっくりと俺に近づいてきた。
｢久しぶりだね｣
｢そーだな。5年ぶりくらい？｣
｢そんなに経つっけ？でも全然北斗変わんないね｣
｢そうか？ちょっとは社会人になって大人っぽくなったと思ったんだけど。たい…京本もあんま変わんないよ｣
名前で呼ぶことをなぜか躊躇ってしまった俺の心理は、ある意味正しい。
今日のこの再会は、ただの旧友との再会とは訳が違う。
｢北斗ってどこ就職したんだっけ？｣
｢○○会社。まぁ普通のサラリーマンだよ。京本はまだやってんの？｣
｢この髪の毛でお察しの通り、ギター続けてるよ。後はバイトでなんとか繋ぎ繋ぎって感じで｣
｢そっか…｣
久しぶりの再会の時によくする会話を一通り終えてしまった今、お互い押し黙ってしまうのも無理はない。
俺らは大学時代
約3年以上もの間
付き合っていた。
今
あの時心底惚れていた相手が
目の前に立っている。
再会や出会いで思い浮かべるのは
ベタなところで言うと
例えば同じ本を取ろうとして同時に手が触れるとか
そんなありふれた恋愛ドラマや漫画で起きる展開はなくて
服の襟元に値札を付けたまま歩いて、カゴを使えばいいものを、両手いっぱいに漫画を持って、挙句の果てにはその漫画を床に散乱させている。
そんな理想やロマンチックな展開とはかけ離れた状況にも関わらず
あの頃と何一つ変わらない
彼らしさが詰まったこの再会に
俺はあれだけ頭がいっぱいになっていた今日の夕飯のことは
この時1つも頭になかった。
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くれよん(プロフ) - 腐女子ちゃんさん» コメントありがとうございます！毎日更新目標に頑張っていこうと思います！本当にありがとうございます(^^) (2020年5月24日 17時) (
レス) id: 664958a767 (このIDを非表示/違反報告)
腐女子ちゃん - 面白いです！これから関係複雑になっていきそうですね…作者さんのペースでいいので更新頑張ってください！応援しています！ (2020年5月24日 8時) (レス) id: 7a4cdc3ef8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くれよん
| 作成日時：2020年5月24日 0時
