出会いと別れ ページ2
それから、Aは満月の夜の日は必ず其処に座っていた。何時もは寂しげに一人、月に手を伸ばしているのだが今回ばかりは違った。良く見てみれば少女の隣には何時ぞやの少年。累も座っている。しかし累のその行動がAには、不思議でならなかった。
「…暇なの?」
「それ僕の台詞なんだけど。」
少女が疑問をぶつけると、すぐさま返事が返ってきた。ドがつく正論にAは反論出来ず、口をきゅっと結ぶ。けれども、お互いがお互いに心を許しているようで怪訝な空気は全く感じられない。
「前から思ってたんだけどさ」
「…なーに?」
「Aは、僕が怖くないの?」
累の疑問は本来は正しいものだ。何故なら、A(少女)は人で、累(少年)は鬼である。
「累らしくないね。でも残念ながら臆病な私は君が本当に怖かったらもう既に無様に逃げて回っているところだ。」
けれど、Aは。彼女だけは違った。鬼と人と、種族は違えど常に平等であった。嘘偽り無い笑みでへらへらと笑いながら答える少女に再び累は小首を傾げる。
「わからないな、怖いは逃げるの類義語じゃないだろ?」
「確かにそうだね。_____..けど、もの凄く単純な私は君を既に友人だと認識してしまっているらしい。」
「…、本当につくづく変人だね、君は」
友人と思われるのが嬉しかった。もう止まったはずの心の臓がどくどくと再び動き出すような、昔 何処かで実感したことのあるようなあたたかい感情に戸惑った。だから累は、それを誤魔化すように敢えて嫌みたらしく言ったつもりだったが、「でも嫌いじゃないでしょ?」と不敵に笑うAの言葉に思わず面食らう。本当にAという女は斜め上の解答を出してくる。累は考えるのですら面倒くさくなり はァ、とため息をつくとそのまま肩の力を抜いた。
暫く、二人で何時も通りの何気ない事を話していたら既に、数時間が立っていた。そろそろ日が出て来てしまう、そんな時。Aは、徐に立ち上がると話し始めた。
──────「そうだ。私ね、今日は累に言わなくちゃいけない事があるんだった。」
嫌な、予感がした。
──────「私、今日。この郷を降りる事になったの」
ちらりと覗いたAの表情(かお)は、あの頃よりも何倍も悲しそうで今にも泣きそうな、そんな顔をしていた。
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羅刹(プロフ) - rosea さん» 凄く凄く嬉しいです有難う御座います!!!( ; ; )頑張って更新していきたいと思います!素敵なご感想を心から有難う…! (2019年9月2日 23時) (レス) id: 8e721ab01a (このIDを非表示/違反報告)
羅刹(プロフ) - rosea さん» うあ〜〜!!やってしまってましたッ!ご指摘ありがとうございます(*´`*)!!! (2019年9月2日 23時) (レス) id: 8e721ab01a (このIDを非表示/違反報告)
rosea - とても面白いお話だと思います!頑張ってください(*≧∀≦*) (2019年9月2日 22時) (レス) id: de9e002270 (このIDを非表示/違反報告)
rosea - 鬼滅隊ではなく鬼殺隊なのでは? (2019年9月2日 22時) (レス) id: de9e002270 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羅刹 | 作成日時:2019年9月2日 14時