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少女と鬼ト ページ1

月は自らを照らす様に綺麗に美しく輝く。然し乍ら対照に辺りは既に薄暗い。そんな良くある夜の日のこと。まだ幼い少女は自分よりも何倍も大きな岩の上に座り、一つの光目掛けて目一杯己の手を伸ばしていた。だが幼子の手は到底月になど届くはずも無く。小さなその手を、止む無く下ろした。
そんな少女を一点に見つめていたのは、同じく幼い少年だ。その少女と一つだけ違うことといえば少女は“人間”で少年は“鬼”ということだろう。鬼の子は、夜の満月になったら必ず現れるその少女を不思議に思っていた。何故なら彼女は鬼が多くなる夜に必ず訪れる。それも、月がたんと輝いている満月のとき。
その少年────累は、今までギュッと紡いでいた口を漸く開いた。

「ねえ、何時もこんな処で何してるの?」

それは累の素朴な疑問だった。けれども、その少女────Aにとって累の質問は愚問でしかなかった。


「私はね。蝶になりたいの」

「……蝶?」


予想外過ぎる解答に思わず首を傾げる。だがAは、その発言を恥じることなく…否。寧ろ活き活きとしながら頷き、興奮気味に答える。

「蝶は綺麗で儚くて美しい。そして何よりも自由な存在。何処までも飛んでいってしまいそう。」

だから、私は蝶になりたいんだ。そう言って再び月に手を伸ばすAの理屈は如何にも滑稽で、累には理解出来なかった。────けれど。

「…うん。わかるかも」

何となく、すこし。
保証なんてものは無いけれど、何処か不思議な彼女のその話をもっと聞いてみたいと思ってしまっていた。



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出会いと別れ→



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羅刹(プロフ) - rosea さん» 凄く凄く嬉しいです有難う御座います!!!( ; ; )頑張って更新していきたいと思います!素敵なご感想を心から有難う…! (2019年9月2日 23時) (レス) id: 8e721ab01a (このIDを非表示/違反報告)
羅刹(プロフ) - rosea さん» うあ〜〜!!やってしまってましたッ!ご指摘ありがとうございます(*´`*)!!! (2019年9月2日 23時) (レス) id: 8e721ab01a (このIDを非表示/違反報告)
rosea - とても面白いお話だと思います!頑張ってください(*≧∀≦*) (2019年9月2日 22時) (レス) id: de9e002270 (このIDを非表示/違反報告)
rosea - 鬼滅隊ではなく鬼殺隊なのでは? (2019年9月2日 22時) (レス) id: de9e002270 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:羅刹 | 作成日時:2019年9月2日 14時

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