tokyo2pm36floor：2nd

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*yoohei side





Aさんは着崩れてしまったスーツが気になるのか、
ジャケットの裾をピシっと引っ張ったり
シャツの襟を直そうとしていた。


でも鏡がなくて見えないせいか、
襟元を上手く直せないみたいだった。




「俺、直しますよ」

「あ、、あり、がと、、」




Aさんの方が背が低いから、
覗き込むようにして顔を首元まで落として
襟元に手を伸ばす。




「・・っ、あのっ、ごめん！私やっぱり鏡で、、っ」

「大丈夫。すぐ直せるから」




焦ったようにそう言って、その場から離れようとする
Aさんの腕を掴んで引き留めた。




徐々に首まで赤くしていくAさんの
崩れた襟をゆっくりと直す。




「すっかり本気になって遊んじゃって、
上司がこんなんじゃダメだよね」

「そんなことないです。
俺は色んなAさんが見れて嬉しい」




覗き込むようにさせた顔から目線だけ上げて




「初めて会った時からいいなって思ってたんですよ。
俺、Aさんのこと結構タイプだから」

「ん、、なっ、、なに言ってんのっ」

「本気ですよ」




そう言ってニッて笑って、姿勢を直したその瞬間に
メッセージが届いて




「あ、ドラム来たって」




あー、残念。
今日はこれでタイムリミット。


出来ればもう一押しくらいしたかった。




「俺が一番最後になっちゃったみたい。笑
家まで送りますよ」

「えっ、大丈夫！いつも歩いてる道だから」

「だめだめ、危ないから。」

「・・・危なくないよ。
それより早く練習に行った方がいいんじゃない？」

「なに言ってんの。
女の人ひとりで帰せるわけないでしょ。
特にAさんは」

「こんな年増は襲われないから大丈夫」

「え、俺なら襲っちゃうのに♡」

「ちょっ、、馬鹿なこと言ってないで早く練習に、」

「それじゃ俺の気が済まないから」




どっちも引かないまま
ゲームセンターの中で同じやり取りが繰り返されて、
最後は俺の粘り勝ちでAさんの方が折れた。





*

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