(58) ページ8
.
「こんばんは、Aちゃんだよね？」
.
バイト終わりにいつもの自転車の場所で私に声をかけてきたのはてつやさんではなかった。
その人は画面の向こうでいつも博識な姿でお馴染みの虫眼鏡さんだった
「あ…こんばんは…」
「ごめんねいきなり、そして以前は企画とはいえ騙してしまってごめんね」
深々と頭をさげる虫眼鏡さんへ必死に頭をあげるように頼む私。
顔を上げた虫眼鏡さんの表情で、なんとなくすべてを悟った
実は、てつやさんがあの日を境にコンビニに来ていないのだ
最初は、またツアーが重なっていたり仕事が忙しいだけかと思っていた自分もいた
しかし、もうあの日から2週間が経過していたのだ。
ついこの前まで夏のミカンやなにやらが陳列されていた棚は、すっかり南瓜やサツマイモに占領されていた
-きっと、どこかで私の何かを悟ってるんだ
もう完全に私の中ではそうとしか思えなかった。
ただ私の行動にはそれくらいの重い罪があったのだと思う上、連絡先も知らない時点でなにもできなかった
汗ばんだズボンのポッケから、虫眼鏡さんがもぞもぞと何かを取り出す仕草を私に見せた
「Aちゃんに渡してくれって。これ…」
そういってやっと取り出し、差し出してきたのはなんの模様もないただの便箋。
嘘、私の以後宝物になる大切な便箋。
開いてみるとてつやさんの汚い字でこう綴ってあった
「
A
いきなり手紙でごめん。実は仕事が重なってコンビニに行くことが難しくなってしまいました。そして、ファンにもいつも行くコンビニとしてバレてしまったらしいので、二重の理由でもう行けない。
きっと、Aが辞めるまでもう行けないと思う。君と過ごした時間はとても楽しかった！ また、いつかどこかで会えることを願ってます。受験頑張れよ！！！応援してるからな！！！！！絶対受かれ！！受かって俺に笑顔で報告してくれ！
てつや」
その手紙を読んで、そういう理由なのか。と納得する自分70% 疑う自分30%
ただその考えは虫眼鏡さんの次の言葉で一転する
「Aちゃん、これは嘘だよ、てつやの嘘。」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 567人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜宵(プロフ) - 初めまして 更新の通知がきて飛んできてしまいました、、！ ずっと続きが気になっていて お気に入り登録しておいて良かったなぁの気持ちです 作者様のペースで更新して頂ければと思います 次回の更新、のんびりと待っています (2020年8月17日 22時) (
レス) id: af02700ee8 (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 今日、この作品に出会いました。とてつもなく惹かれる作品で、一瞬で虜になりました。もし、どうにかなるのならば、ぜひ完結まで読みたいです！お時間があればで大丈夫なので、よろしくお願いします！！！ (2020年5月11日 16時) (レス) id: 534e341e06 (このIDを非表示/違反報告)
むーん(プロフ) - 更新停止と書いてあったので少し心配だったんですが、完結させると作者様がおっしゃっていてとても安心しました。読み始めたのはつい最近ですが、すっかりこのお話の虜になってしまいました。お忙しいとは思いますがどうかお体に気をつけてください。応援してます！ (2018年10月7日 15時) (レス) id: b5d357e611 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - oss.2さん» 完結してくださると言っていただけただけでめちゃくちゃ嬉しいです(*´∀｀*)首を長くして長く待機しております！！ (2018年5月5日 18時) (レス) id: 79b287e614 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 更新お疲れ様です！待ってました〜〜( ；∀；) 大好きな作品です(*^^*) (2018年5月4日 20時) (レス) id: 21eed20a34 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：oss_2 | 作成日時：2017年10月28日 21時
