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次の日、私が目覚めると横には先生はいなかった
「おはよう。鍵はあげるから、またおいで」
そう走り書きされたメモと鍵だけが置いてあった
そうか、私は先生の相手に認められたんだ
でも
そう思える日が来ると嬉しいはずだって今まで信じて生きてきた私には辛すぎる現実だった
朝起きて感じたのは優越感ではなくとてつもなく大きい虚無感。
私が欲しかったものはこんなものだったのだろうか、先生で満たされるはずの心は、ぽっかりと穴が空いたようだった
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一度家に帰り、身支度を整えた後に予備校へ
教室のいつもの席に座り込む、予習のテキストを広げて解こうとするが一向に私の手は動かなかった
「おい」
声をかけられて振り向けばあいかわらずの諏訪くんがいた
「なに? 」
「お前またなんかあったの? さっきから手動いてないけど」
そう言われて時計を見ればここへきてから30分ほど経っていた
「別になにもないよ」
諏訪くんをシャットアウトしようと捻っていた半身を前に戻そうとすると肩を思い切り掴まれた
「…なに」
「なに? 」
「別に…好きな人と寝ただけだよ、これで満足? 」
「じゃあなんでお前そんな顔してんの」
諏訪くんのまっすぐな視線が私を痛いくらいに突き刺す
きっと私は今、情けない顔をしているんだろう
「知らないよ…」
こっちが聞きたい、と言い残して私はこの場に耐え切れなくて荷物を持って教室の外へ出た
こっちが聞きたいんだ。
なんでこんなに辛いのか、なんでこんなに空っぽなのか
涙が目から溢れそうになるのを感じた私は今日はもう無理だな、と予備校を後にしようとエレベーターに乗り込んだ
授業の振り替え、今度してもらおう
閉ボタンを押そうとすると手が滑り込んで、ドアをこじ開けて人が入ってきた
それは、やっぱり諏訪くんだった
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夜宵(プロフ) - 初めまして 更新の通知がきて飛んできてしまいました、、! ずっと続きが気になっていて お気に入り登録しておいて良かったなぁの気持ちです 作者様のペースで更新して頂ければと思います 次回の更新、のんびりと待っています (2020年8月17日 22時) (レス) id: af02700ee8 (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 今日、この作品に出会いました。とてつもなく惹かれる作品で、一瞬で虜になりました。もし、どうにかなるのならば、ぜひ完結まで読みたいです!お時間があればで大丈夫なので、よろしくお願いします!!! (2020年5月11日 16時) (レス) id: 534e341e06 (このIDを非表示/違反報告)
むーん(プロフ) - 更新停止と書いてあったので少し心配だったんですが、完結させると作者様がおっしゃっていてとても安心しました。読み始めたのはつい最近ですが、すっかりこのお話の虜になってしまいました。お忙しいとは思いますがどうかお体に気をつけてください。応援してます! (2018年10月7日 15時) (レス) id: b5d357e611 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - oss.2さん» 完結してくださると言っていただけただけでめちゃくちゃ嬉しいです(*´∀`*)首を長くして長く待機しております!! (2018年5月5日 18時) (レス) id: 79b287e614 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 更新お疲れ様です!待ってました〜〜( ;∀;) 大好きな作品です(*^^*) (2018年5月4日 20時) (レス) id: 21eed20a34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:oss_2 | 作成日時:2017年10月28日 21時