43話なんて。 ページ47
八百万side
「も、百ちゃん...？急にどうしたの...？」
困惑しているAさんの手を握り、顔を覗き込む。
そうですわ。なんで気づかなかったのでしょう。
彼女には絵の才能がある。
そして、彼女に今必要なのは、彼女が抱え込んでしまっている大きな悩みを軽減させること。
「...Aさん。貴女のその誰にも言えない悩みを、絵にぶつけてみてはいかがですか？」
私がそう言うと、首を傾げて数回瞬きするAさん。
「あの、えっと...どういう...？」
「ですから、Aさんが強く思っているもの、いつまでも考えてしまっているものをイメージした絵を描けばいいんですの！」
そうすれば、少しは気持ちが軽くなるのでは....！
しかし、彼女は一瞬、その悩みのことを考えたのか、辛そうな顔をして首を横に振った。
「...あの、その提案は嬉しいけど...こんな私の汚い気持ちを絵にのせたら、見るに耐えないものになってしまうから...」
そう言って、また俯くAさん。
「....私のこんな感情を表す絵なんて、人を不快にさせるか、困らせるだけだよ。」
.....そんなわけ、
「そんなわけ、ないじゃないですの。」
「.....え？」
「どんなものでも、何かを想って感情を注ぎ込んだものは、必ず人の心を動かしますわ。それが絵画なら尚更、作者の感情が見た人に伝わるもの。
Aさん、こんな言葉を知っていますか？
『その手に魂が込められなければ、芸術は生まれない』
...かの有名な美術家、レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉です。
私はどんなものか想像できませんが、貴女がそれ程まで強く思う感情を、貴女のその才能を、どうか否定しないであげて下さい。」
「.......っ.......！」
私が話し終わると、彼女の目が潤み始め、やがて宝石のように綺麗な瞳からポロポロと雫が落ち始めた。
「....本当に、わたしの想いは....汚く、ない...かな...？」
「はい。」
「こんな気持ちを絵にのせても...絵に、描いてもいい...の....？」
「...はい。だって、芸術に正解はないんですから。...それに、貴女の描く世界が、私は大好きなんです。」
「...ありがとう...百ちゃん...」
そう言って素の笑顔を見せたAさんは、まるで天使のように綺麗でした。
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セレネ(プロフ) - 続編すごく楽しみです！更新大変だとは思いますが頑張ってください！応援してます！ (2018年8月17日 14時) (
レス) id: caaac3f99a (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 続きみたいです(吐血) 更新大変だと思いますが、応援しています。この恋の行く末楽しみです。 (2018年8月16日 22時) (レス) id: b9e3ade31c (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - 続編めちゃくちゃ楽しみにしてます。更新頑張って下さい。応援してます。 (2018年8月3日 22時) (レス) id: 5deb47caf1 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - 私も映画見ました！！本編じゃ絶対見れないようなシーンもあったので嬉しかったです。特にかっちゃん。 (2018年8月3日 22時) (レス) id: eef577390e (このIDを非表示/違反報告)
白龍(プロフ) - 久々の更新とても嬉しかったです！続編おめでとうございます！！これからも頑張ってください！ (2018年8月3日 21時) (レス) id: e12a3831fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kuumi
| 作成日時：2018年1月2日 22時
