story52 人攫い ページ10
陽毬side
星なしを庇うようにして立つナル。この状況で考えられるのは1つ、男達は星なしを狙っている。そしてナルはそいつらから星なしを守ろうとしている。
僕の当初の目的は正門付近に残った星なしの祖父の情報を得るため。だけどそれは今この状況を見逃してまですることじゃない。正直ナルだけでも星なしを守れるとは思うが、より確実なのは僕が間に入ること。そう結論付け、騒ぎの中心へ瞬間移動で飛ぶ。
飛んだ瞬間目に映ったのはこちらに向かって投げられた爆弾のようなもの。咄嗟のことでアリスの変換にもたついたが、何とか結界のアリスを発動させた。
耳をつん裂くような爆発音に眼前を覆う黒煙。超至近距離で爆発した爆弾の威力は想像以上で、慌てて張った結界はすぐに砕け散る。爆発によって生じた熱風が肌を焼き付け、飛散した破片が脚の肉を裂いた。身構えていなかった痛みに思わず声が漏れる。
「いっ……うぅ、もうちょっとうまく助けるはずだったのに、失敗しちゃった。」
僕は完全に彼らを舐めていた。ただの一般人にアリスである自分が負けるはずがないと心のどこかで思っていたんだ。だから彼らの爆弾にすぐ反応できずにこんな怪我を負ってしまった。もっと誰も傷付かずに終われるうまいやり方があったはずだ。自分の無計画さに呆れてしまいそう。
黒煙が収まりきらないうちに、ナルが駆け寄ってきた。彼の顔は元から白い顔からさらに血の気が引いたような色をしていた。側にいた星なしも青ざめた表情で近寄ってくる。
「陽毬ちゃん、どうしてここに!? とにかく手当てしなきゃ……」
「何で2人して泣きそうな顔してるのさ。これは僕が下手こいただけ。2人のせいじゃないよ。」
「で、でも、元はと言えばウチがこんなことせんければ! 陽毬ちゃん、ごめん、ごめんな……」
皮膚の火傷や脚からの出血が酷かったので、一旦ナルの家に運ばれることになった。僕は当初の目的を果たせていない上、ペルソナにわがままを言ってこの場にいるわけだから今すぐナルと別行動を取りたかった。
だから自分で手当てするからと断ったのだが、ナルが引かず、どうせ爆発騒ぎのせいで人だかりができ情報収集できないこともあり観念して、騒ぎの一端となった星なしと一緒にナルの家へ向かうことにした。
怪我人だとかいう理由でナルに横抱きにされて運ばれたときは、羞恥心で死ぬかと思った。この時ばかりは痛みで意識を失ってしまいたいと切に願った。
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えるふぃ(プロフ) - Rumiさん» Rumiさん、ご指摘ありがとうございます!! 火事に直してきました!気が付かず申し訳無いです…。細かいところまで読んでくださってありがとうございます! (2020年5月3日 1時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
Rumi(プロフ) - あの71話の火事が家事になってますが…。 (2020年5月3日 1時) (レス) id: 29532e4533 (このIDを非表示/違反報告)
ひらり - 30話目のアリス祭のとこのワカメさんのセリフ「ああ忘れる所だった。不人気どころかー...」が蜜柑のセリフになってるぞー。 (2014年4月12日 10時) (レス) id: 057e594f88 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - チェナさん 間違いを教えて下さりありがとうございました。助かりました。
一応気付いたところは直しました。
また 何かあったら言って下さいm(_ _)m (2013年12月25日 22時) (携帯から) (レス) id: 39d6b953a1 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - アルト(οπο)さん» アルト(οπο)さんありがとうございます。
初めて自分の作品にコメントを戴きをその上誉められるなんてとっても嬉しいです♪
これからも書くの頑張ります(≧∇≦) (2013年12月2日 0時) (携帯から) (レス) id: 39d6b953a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えるふぃ | 作成日時:2013年11月29日 23時