十七雫。 ページ17
.
病室に辿り着くと、俺らに気がついたヒロさんが
立ち上がって迎えてくれた。
「わざわざごめんね。
お仕事中かと思って先に
Aちゃんに連絡したんだけど、
驚かせてしまったかな。」
「いえいえ、ご連絡ありがとうございます。
...それで、...。」
ヒロさんがすっと移動すると、
ベッドに横たわるその姿が見えた。
「...........」
青白く染まった肌。
安らかに目を閉じている。
「さっき治療室から戻ってきたんだ。
もうすぐ先生から
検査結果についてお話があるみたいで。
今は眠っているそうだから大丈夫だよ。」
「そうですか。」
俺の腕を掴んでいたAが、
そっとベッドに近づく。
「...静か」
「...うん...本当。倒れたなんて、信じられない」
「私も驚いたよ。朝方に、突然だったから。
...もしかしたら、記憶をなくしたことにも
関係しているのかもしれないって、
お医者さんがちらっと仰っていたよ。
それについてもこれから聞かされるんだろうけど」
ゆかりさんの、記憶。
現時点で彼女は、自分の家によく来てくれる
元女優の咲坂Aがまさか自分の娘だなんて、
夢にも思ってないだろう。
きっと彼女の中では、ヒロさんが気をつかって
定期的に呼んでくれてるのだとしか考えていないはずだ。
Aが言っていた、彼女の過去。
ゆかりさんがAにしたことは、
到底許されることではないけれど...
当時どんな思いだったのか、
それを確かめたい気もある。
Aの話には個人の主観的要素も
入っているはずだ。
全てが真実とは限らない。
なぜなら、俺にはどうしても...ゆかりさんが、
そんなに酷い人間だなんて思えないから。
.
終わり
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ひなの_FmKn - このお話すごく大好きです...！応援してます！ (2019年3月31日 16時) (
レス) id: c768473685 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ - お話読ませてもらいました！とってもいいお話で泣いてしまいました！続きも気になるので更新してほしいです！ (2019年3月24日 14時) (レス) id: e1ff624753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：YUi
| 作成日時：2019年2月12日 14時
