ドナドナ (ページ45)

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「おお、お前らか。」
声をかけられてハッとした。意識が飛ぶ寸前だった。「おぉ…」という声が周りから聞こえた。どうやら他の三獣も意識が飛びそうだったらしい。
雄牛「突然押しかけて申し訳ありません。実は私たt」
族長「話は若いモンから聞いておる。」
族長は雄牛の話を遮り、続ける。
族長「堅苦しい挨拶も要らん。そうか… まさかこの時代にも人間に闘いを挑もうとする馬鹿者がおろうとはな… 俺が若い頃にもおったわ…ちょうどお前みたいな雄牛だった。筋肉隆々でな…顔も雄牛、お前によく似ておったわ。よく狼と喧嘩してたのを俺が止めに入っていてな…あの頃はよく3匹でつるみ、鍛錬し…それはもう楽しい日々だった。なんといったか…ロックス…だったか。おおそうだロックスだった。最近物忘れがひどくてな…」
え…？！？！？！？！雄牛に戦慄が走る。
雄牛「族長…今なん…と…？！」
グランドブラック「おいどうした？！冷や汗出てきたぞ？！お前大丈夫か？！？！」
グランドブラックが気にかけるが今の雄牛の耳には届いていない。父。父の名前だからだ。ロックスこそ、大好きだった母がいつも幸せそうに話していた父の名前だからだ。いつか会いたい、いつか会いたいと幼き頃から夢見ていたその父の名前だったからだ。筋肉隆々でかっこよかったと母が話していた。劇団に売られていったと母が話していた。劇団だから食べられる心配は無いけれど、元気にしているかなと母といつも心配していた父の名前だったのだ。だか、風の便りで死んだと聞いた。悲しみこそしたものの、雄牛はいつも父を誇らしげに思っていた。
雄牛「族長…僕の父の名はロックスです。風の便りで死んだと聞きましたが、まさか父があなたと友人とは知りませんでした。」
族長「なんと？！まさかとは思うたが…まさかお前の……なんと世界は狭いことだのう。そうだ。お前の父ロックスはお前等が望む人間との闘いで命を落とした。今は亡き友だ。本当に誇らしい友だった。目を瞑ればまだあいつの笑った顔が眼に浮かぶ。そう。あの闘いは本当に地獄そのものだった。引くも地獄、進むも地獄だ。お前等四獣は自らそんな地獄に行きたいといっているのだぞ。生半可な気持ちでは死あるのみ。それでもやるか。」

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